トラペ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年12月23日 | |||||||||||||||||||||||
<ジュブレ・シャンベルタン>
室温のまま抜栓後すぐINAOグラスへ。エッジにややムラサキを配する濃い目のルビー色。乾いた土壌香に重なるように赤系と黒系果実が入り混じる。口に含めば、荒々しいジュブレの特徴を踏まえつつ、清楚な感じも持ち合わせていて、この村の村名クラスとしては目を見張るほどのエレガントな味わいである。熟しているとは言いがたいが、ほのかにジャムっぽい味わいもあり、角をうまく丸めたようなタンニンと小気味よい酸が、しっかりと味を支えている。うまい。今回はフランス土産の鴨のコンフィの缶詰に合わせてみたが、土でつながるおいしい味わいに頬は緩むのだった。強烈なインパクトこそないが、ジュブレ・シャンベルタンのテロワールを十二分に意識させる逸品である。時間がたってもへたることがなく、いつまでも同じ味わいをキープするところはすばらしい。 このワインを学校の点数に例えるならば、85点を10回連続でとったような印象である。どういうことか。学校のテストで85点をとっていれば、よほどのことがない限り、親に怒られることはないだろう。もっと勉強しなさいというには心苦しく、かといってよくがんばったねと頬ずりするには90点の大台に乗っていない。90点以上ならば夕飯に一品増える可能性はあるが、85点だと次もがんばれ程度かもしれない。しかしこの点数なら再テストはない。このトラペのジュブレはそういうワインである。確実に合格点に達し、時間がたってもまったく衰えを知らない。この衰えない持続力は85点を10回連続してとるのに似ている。すばらしい。ただ、なんどやっても(時間がたっても)同じ85点。点数が上がるでもなく、下がるでもなく、常に一定なのだ。安定しすぎて、逆に目立たない。同じ味の連続は変化が楽しいブルゴーニュにあっては特異なはずなのに、それでも目立たない。おいしいに何の文句も苦情もなく、ありがたいことなのに、どうもそのことに気付かせてくれなかったりする。 ん。褒めているのかそうでないのか分からなくなってきた。 ただこのワインはおいしい。そのことに間違いはない。 ジャン・トラペの息子ジャン・ルイ・トラペとは個人的に親しくさせていて、今回のワインも本人から直接頂戴したものだ。セラー蔵出しの逸品である。トラペはルロワと同じく、ビオディナミ農法を実践する造り手であり、ジュブレ・シャンベルタンの老舗的存在である。トラペについては別の機会に紹介したかったりする。 以上 |