イヴ・ポワイエ・マルトノ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年01月07日 | |||||||||||||||||||||||
<ムルソー・アン・ロルモー>
暖房の効いた部屋で気持ち冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。液温15℃。緑がかった薄い金色。ハーブが一発目に香り、しばらくグラスに満ち溢れている。今までムルソーにハーブを感じたことは少なく、この一味違う香りに戸惑ったりもする。口に含めば、うまみが十分感じられ、唾があふれてくる。酸味はそれほど感じず、まろやかふんわり系の味わいだ。残念ながら品はあまりない。へえ。こんな味もあるのかと思っていると、みるみるうちに濃い味わいに変化する。どんどんとろとろになり、ハーブに代わってこの村の定番のバター香が出てきた。バナナっぽさを感じ、油脂分のエキスが滲み出している。オイリーな味わいは抜栓直後とはまったく違うワインになっており、この劇的な変化が面白い。ただ残念ながら、時間とともに香りは変化すれど、味わいそのものは抜栓直後しばらくをピークとして下降の一途を辿ってしまうので、そこが寂しくもあり儚くもある。おそらく、室温をもう少し、ひんやりする程度に下げれば、味わいがぼやけることもなく、もう少しゆったり楽しめることだろう。 時間にして20分もしないうちに劇的に代わる味わい。これはレストラン泣かせかもしれない。同じワインでここまで味わいが変わってしまうと、合わせる料理が辛くなるからだ。もう少し同じ味わいをキープした方が、料理に集中できる。しかし、ワインをメインにした食事会ならば、これほど話題に事欠かないワインもないだろう。自分のグラスはもちろんのこと、隣のグラスとの違いも顕著に現れ、その違いにその場も大いに盛り上がるはずだ。 当然のことながら私はグラスを回さない。グラスを回さずともこの変化が十二分に楽しめるのだ。スワーリングと称してグラスをぐるぐる回す人たちに、この変化が楽しめるかどうかは極めて疑問。繊細な味わいを身上とするブルゴーニュはやはりグラスは回さずにゆったりと楽しみたい。 パーカーズポイントは88だが、彼の試飲したキュベ・ユニークと今回のキュベが同一のものかは定かではない。また、畑は国道74号線をムルソーの交差点で右折して、コシュ・デュリー邸の向かい側付近にある。 以上 |