カレラ
試飲日 2003年01月10日
場 所    神奈川県某所o     
照 明 蛍光灯
種 類 アメリカ カリフォルニア白ワイン
生産者 CALERA Wine Campany (Hollister CA)
Vintage 1999
テーマ カリフォルニア魂 ?
ワイン Chardonnay (Central Coast)

<シャルドネ>
 暖房の効いた部屋にて、少し冷やして抜栓後すぐINAOへ。やや冷たさを感じる温度。深みのあるというよりは深すぎる金色。グラスからはこれでもかというほどに樽香が溢れ出ている。オーキーである。土っぽいニュアンスが荒削りに存在し、干物的な要素も感じられる。口に含めば、なにやら物足りない。酸がバラケテいて、まとまり感がないのだ。香りの強烈なインパクトに反し、というよりはすべてのエネルギーを香りに奪われたかのような味わいになっている。しいて例えるならば、カリフォルニアの免許取りたての兄ちゃんが、渋滞する市街地で750cc以上のバイクを空ぶかしして、「どうだ俺のバイクはすげぇだろ」と自慢しているかのような錯覚に陥ったりする。爆音にも似た音圧の割には、兄ちゃんちっとも進んでねぇえよと突っ込みを入れたくなる味わいだ。このあまりにも樽を意識させる香りは、食事と合わせられるのを拒んでいるかのようだ。海産系にも白身肉系にも、いわんや赤身肉にも合いそうにない。どうしよう。

 んん。こんなもんかジョシュ・ジャンセン。ブルゴーニュのシャルドネにある品というものは、このワインには微塵も感じられず、荒っぽい大味な味わいは、ハンバーガーに代表されるアメリカンフードの印象に重なり、いい経験をした程度の一回ぽっきりの出会いの予感が漂っていた。

 しかしである。かれこれ30分以上も経った頃。それはちょうど、全開のアクセルにクラッチがジャストぴったんこに繋がったときと同じような、トルクのある味わいがグラスに展開され始めた。音と同じ迫力が、味に伝わった瞬間、ずしりと質感を伴った深いシャルドネの世界が胃を宙に浮かせるのだった。白にもかかわらずしっかりとボディを厚くするタンニンと、荒削りながらもしっかりとした酸が調和し、かつ樽香が和らいだ味わいは、カリフォルニアの太陽をしっかりと浴びた肉付きのよいテーストに生まれ変わっているではないか。俄然うまくなっている。ちょっとびっくり。そしてさすがジョシュ・ジャンセンだ。

 このワインをはじめから楽しむためには、抜栓後1時間近く待つか、さもなくばデカンタをしてみたくなる。そうすれば、抜栓直後のヤンキーな兄ちゃんの出番は少なくなり、シャルドネのもうひとつの味わいが楽しめることだろう。


 ジョシュ・ジャンセンについては、ブルゴーニュとのかかわりも深く、別の機会に紹介してみたい。そして今回のワインは巷に流通しているバージョンとは違うらしく、樽熟をかなり長めに行っているという話もある。本来はイギリス市場に出回るはずが、いろいろあってイギリス経由で日本に入ってきたという。まさに地球を一周してきたワインだったりもする。そしてカレラを訪問した某氏によればセントラルコーストの畑は自社所有ではなく、ブルゴーニュでいうところのネゴシアン的な位置づけになるという。

 末筆ながら姉妹サイト「カリフォルニア魂」の立ち上げは、まだ当分先のこと。まだまだブルゴーニュっす。


以上
 


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