バロン・フィリップ・ド・ロートシルト | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年01月22日 | |||||||||||||||||||||||
<地酒 ヴァン・ド・ペイ・ドック シャルドネ>
少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。液温17℃。透明感のある金色。クリーミーな香りが勢いよく香り、生乾きの樽香のニュアンスがある。時間とともにヴィオニエちっくな金木犀系の香りに変化する。口に含めば、ぬるめの大吟醸のような味わいに似ていなくもない。思ったほどの酸がなく、そのために平べったい印象はぬぐえず、とろみ感はあるが、余韻はない。んんん。少し飲む前の期待が大きかったか。どうもこのワインはケバクなりがちで、およそ品というものがない。この温度では雑味感が意欲をそぎかねず、ワイン単独では厳しい味わいかもしれない。何か料理が欲しくなる。そしてエチケットに描かれた梅の樹が意味するところはなんだろうと、違うところに視点を置きたくなってきたりする。 おそらくもっとギンと冷やせば、ワインもきりりと引き立つだろう。最低でも10℃以下。そして、料理とともに、特にマリネ料理にあわせたい味わいだ。梅の樹が示すように和食テーストにも合うかもしれない。しっかりしたアルコール感があり、酔う印象があるので、テーブルワインとしての本望は達成している。このアルコール感はレストランでグラスワインで提供しやすい味わいであり、そもそも、このワインはお客に興味を抱かせる材料がたくさんあったりもする。 今回のワインはラングドック地方のヴァン・ド・ペイであり、市場価格でも1000円代半ばである。ブドウ品種はシャルドネ。造り手はかのシャトー・ムートン・ロートシルトを経営する名門バロン・フィリップ・ド・ロートシルト社。微妙である。ヴァン・ド・ペイという素性の知れたテーブルワインをムートンの暖簾で市場価格を押し上げたワイン。ムートンの影がなければ、この味で1000円を超えることはないだろう。同じテーブルワインでもムートンの名があれば、注目を浴び、高値で販売できる上に、販売経路も確保しやすくなる。 ただここに感動があるかは疑問だ。同社はシャルドネのほか、フランスの主要品種を謳ったワインをこの地でリリースしているが、いかがなものだろうか。レストランでこのワインがグラスワインとして一杯400円程度で提供されるなら、大いに注文しやすいワインではある。ムートンで培ったノウハウを、フランスの台地で育てたシャルドネとともに・・・なんていうキャッチフレーズで売り上げも増大するかもしれない。レストラン側にとっては使い勝手のよいアイテムであり、お客にとってもそれぞれの葡萄品種の味の違いを知るにはいい機会かもしれない。こういうワインの立場も確かに必要だ。書き進めるにつけ、何ともおさまりが悪いので、ここで強制終了しておこっと。 以上 |