サント・ネージュ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年01月22日 | |||||||||||||||||||||||
<国産初のビンテージ入りカベルネソービニョン>
抜栓後デカンタをして30分待ってからNAOグラスへ。ガーネットの優しい色合い。コルク臭はデカンタのために消えている。干物、軽いもろみ香があり、タールっぽさも感じられる。口に含めば、優しい味わい。果実味はほとんど感じないが、やわらかみにも似た熟成感が背筋をくすぐってくる。力は弱く、よそ見している間に水に変貌してしまいそうな儚さを持ちつつ、うまみ成分がほんのり伝わってくる。1974年のこのワインには初めて接するが、なぜだかどことなく懐かしさを覚える。郷愁。ノスタルジー。貴重である。 かつて、今から30年前、ボルドーを目指して山梨の大地でカベルネ・ソービニョンを育てた男たちの物語が、中島みゆきの音楽とともに再現される。残念ながら日本ではワインを守る法整備が遅れ(今でもだが)、この技術は廃れてしまったかに見える。至極残念ではあるが、かつて日本にもワイン造りに命をかけた男たちがいたことをこのワインは伝えてくれる。これは、30年後に結果を残した男たちの物語である。 ワインはすでにその盛りを過ぎて、最後のひとふんばりの様相を呈している。しかし古酒好きにはたまらない美しさだろう。そして果実味豊かなワインが好みの人には、この儚い味わいは、なるほど熟成するとこうなるのかと感慨深くなることだろう。とにもかくにも今宵の貴重な出会いに感謝である。 以上 |