ポンソ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年01月25日 | |||||||||||||||||||||||
<ジュブレ・シャンベルタン キュベ ド・ラベイユ>
抜栓後すぐゆっくりとINAOグラスへ。オレンジ色がうっすらと映る極々薄いルビー色でこの薄さ加減は、おそらく過去にも例がないほど。香りは赤系果実味をベースに力はないが、静かに香っている。口に含めば、水の如し味わいながら、なんとか赤ワインとしての体裁は保っている印象だ。うまみ成分も微かに感じられ、ほっとしたりする。余韻は短く、ジュブレ・シャンベルタンとしての力量は特に感じないものの、40年以上前の古酒を労わりながら飲む感覚に似ていなくもなかったりする。なんだ。パーカーは少し大げさすぎる。 しかし、抜栓からおよそ2分後、グラスに注いで1分後に、このワインはこつ然とその使命を終えた。完全なるオレンジ色の水と化したのだ。びっくりだ。あまりにも突然やってきた変貌。このワインのパーカー評は67 ?という最低レベルの評価(註)。なるほど、彼の言わんとしているところも分からないでもない。まったくの水。しかし少なくとも1分間はおいしいワインであった事実は語られなければならないだろう。こういうワインもこの地方には存在する。だから面白い。そしてそんなワインとの出会いもまた一興だったりする。ポンソは当たればでかいが、外す時もある。その外し方も豪快すぎて、潔さすら感じる。良いと思う。往年のホームランバッターの三振する姿に似ているのだから。 今回のワインの根本たる原因はなんなのだろう。俗に酸化防止剤(SO2)の未使用や新樽採用率0%が挙げられているが、その確信はないので答えは闇の中にありそうだ。なお95年と96年のパーカーによるポンソ評は大方酷評に近く、今回のワインには共感を覚えなくもないが、他のワインは彼の評価以上のおいしさがあることも付け加えておこう。 ちなみにキュベ名のabeilleは蜂蜜の意 註 参考=厳正評価世界のワイン2巻P434 以上 |