ジャン・グロ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2000年12月23日 | |||||||||||||||||||||||
<味の印象> オレンジがかった赤系のやさしい色合い。この優雅で落ち着きのある色調は、グラスに注がれた瞬間から偉大なワインを予感させる。香も複雑で、「これぞ」という感じである。煙のように立ち込める薬系の香はこの村そのものである。極微量の正露丸をほのかに感じ、エキセントリックさを演出している。 複雑で品のある香はINAOグラスでも十分楽しめるが、ロブマイヤーグラスでは、驚異を通り越し思わず笑ってしまうほどのインパクト。飲み干して、一瞬時が止まり、そして頬が緩む。大きめのロブマイヤーグラスは膨らませた風船の飲み口をキュッとつぼめた形をしている。そのゆったりとした大きさゆえ、酸が立ちやすくワインの味を損なわせる危険性がある。しかしこの一級クロ・デ・レアは崩れるぎりぎりのところを指一本で持ちこたえている微妙さがある。崖から落ちかけている危うさがあり、このワインの潜在的な能力のために、そこからグイッと這い上がる力強さもある。繊細なこの村の特徴を見事に表現している。つくづく偉大である。辛口ワインにあるあの甘みも堪能し、奥行きのあるふくよかな味わいは感激である。 <ジャン・グロ> ジャン・グロ名でのリリースはおそらくこのビンテージが最後である。これ以降はミッシェル・グロに統一されてリリースされている。グロ一族を代表するワインであり、単独所有の誇りをアピールしつづけている。単独所有(モノポール)は複数所有が一般的なブルゴーニュにあって得意な存在である。他の生産者はその畑からはワインを造りえないので、そのワインの評価が直接そのドメーヌの評価にも繋がる。責任と注目度は複数所有の畑を圧倒し、そのドメーヌの代表格でもある。ゆえにそのエチケットには堂々とMONOPOLEの表記がされ、他のワインとは違うぞと消費者に知らしめている。 名家グロ一族は1830年まで遡れるが、今日のドメーヌの基礎はルイ・グロからである。幾たびの遺産相続により、現在は4つのドメーヌになっている。この四つのドメーヌは、ルイから数えて孫の世代になる。ヴォーヌ・ロマネを語る時、この四つのドメーヌの存在は無視できない。このドリンキングレポートでもグロ・フレール・エ・スールの凄さに驚嘆し、またミュニュレ・ジブールの欄でも少しではあるがA.F.グロのワインと比較しているので、見てみてね。 以上 |