ドメーヌ・ユベール・リニエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年01月25日 | |||||||||||||||||||||||
<クロ・ド・ラ・ロッシュ 1997>
抜栓後すぐINAOグラスへ。黒いルビー色はエッジにやや透明感を意識させつつも、深い色合い。香りは閉じていて、ただ黒系果実のニュアンスを漂わせている。口に含めば、意外なほどヘビーな味わい。ずしりと腰を据えたような存在感が驚きの中にある。以前試飲したときよりも重い印象が伝わってくる。それでもお花畑を連想させる華やかさが徐々に現れ始め、ほっと一安心だったりする。そして黒系よりもブルーベリー系のニュアンスが登場し、香り自体のインパクトも強くなっている。んんん。いいぞ。 このクロ・ド・ラ・ロッシュは両極端の要素を兼ね備えているようだ。少しずつ現れてくる華やかでエレガントな味わいは、タンニンを意識させることがなく、非常に滑らかで気品に溢れているが、一方で抜栓当時からしっかりと地面に根を生やし、ずしりとした重量感を感じさせる。どちらか一方を意識すると、とことんそのイメージに振られるが、ふと我にかえると確実にもう一方の存在を認識するのだ。重いのに華やか。そんな言葉がぴったりかもしれない。これはまさにモレ・サン・ドニの地理的条件を代弁しているかのようでもある。ずしりとした男性的なジュブレ・シャンベルタンと華やかで女性的なシャンボール・ミュジニの両方を同時に感じさせるのだ。この秘めたタニックさが、華やかな果実味に隠れながら、確実にワインの酒質を押し上げている。ジュブレとシャンボールの中間に位置する偉大なモレ・サン・ドニの確固たる存在感がここにある。すばらしい。 1997ビンテージの多くが熟成感を達成しつつあるが、このクロ・ド・ラ・ロッシュはまだまだ果実味健在。これからその重い腰を上げて熟成しようかという頃合だ。今飲んでよし、将来もまたよし、次にいつあけるか楽しみな逸品だろう。 以上 |