カシュー | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年02月01日 | |||||||||||||||||||||||
<エシェゾー 1992>
室温のまま抜栓後すぐINAOグラスへ。赤みの残るガーネット系の薄いルビー色。醤油のニュアンスにカラメルを混ぜ合わせ、少し火を入れたようなそんな熟成香が漂っている。鉄や血のニュアンスも微かに感じられる。口に含めば、優しく繊細で端正な味わい。時間とともに甘みが増して、ずいずいと力を感じさせる味わいながらも、基調にある優しさがどことなく怪しげで、どことなくアンニュイでもある。果実味は感じられず、下り坂を意識させつつも、どうにか指一本で思いとどまる味わいかと思う。 優しいエシェゾーである。1992年という超熟タイプではないビンテージながら、11年の歳月を得てもまだ特級の風格を残しつつ、ようやく長い眠りから覚めつつ、静かに枯れゆく様がいとおしい。このエシェゾーはワインとしての最後の力を長めの余韻に託しつつ、静かに、静かにその存在を記憶の中に残そうとしていた。その去りゆく様はとても静かだった。 以上 |