ヴァンサン・ジラルダン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年02月09日 | |||||||||||||||||||||||
<ムルソー 1級 シャルム>
少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。液温18℃。透明感のある金色。甘い花蜜の香りと、シャサーニュ系のトロピカルな香り立ちが好印象だ。口に含めば、ミネラル感がしっかりしていて、とろみも十分あり、エレガントな味わいが楽しめる。果実味が豊かで、伸びのある酸が心地よい。余韻もしっかりあり、品のあるムルソーである。 ただ、ヴァンサン・ジラルダンはどうも教科書的なワイン造りのイメージがまとわりつく。今回のワインも、ムルソーにあって、トロピカルフルーツを醸し出し、常にシャサーニュモンラッシェと比較されうる1級シャルムの特徴をコンパクトに表現しているからだ。巨匠たちや若手ホープ組の個性ある味わいとも違い、いわゆるスタンダードな味わいの域を脱しないところが、このネゴシアン・ドメーヌの個性であり、その意味で教科書的なのだ。同じ意味で、各アペラシオンを知るには絶好の造り手だ。何より規模も大きく、多くのアペラシオンからワインを造っているのだから。ワインセミナーには必需品かもしれない。値段もそれ相応という感じではある。 ジラルダンのワインを定規代わりにして、個性豊かな造り手のワインを飲めば、造り手の個性も見えてくる。なぜあの造り手は評価が高く、高額で取引されるのか。高額ワインはスタンダードワインと何が違うのか。ワインを知れば知るほど、ワインの奥深い魅力に感動を覚えたりする。その定規をジラルダンは教えてくれている。 以上 |