ユベール・リニエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年02月15日 | |||||||||||||||||||||||
<モレ・サン・ドニ 1級 古木>
抜栓後すぐINAOグラスへ。ガーネットを含んだ濃いルビー色。黒系果実をジャムにして、それをペーストして甘み成分を飛ばした香りがしている。それに加えてタールやスパイスが優雅に漂っている。口に含めば、熟成感と果実味が交差する味わいにして、非常に品がある。緻密さが極上のレベルで提供され、液体の一つ一つの要素に決めの細かい配慮が為されているかのようだ。濃縮感を保ちながら、程よく解ける様がすばらしい。構造的な奥深さを持ち、その滑らかな味わいはブルゴーニュの頂点を彷彿とさせるに余りある。押し戻ってくるバックテーストが心地よく、いつまでも続く余韻がこれまたすばらしい。さらにロブマイヤ社のブルゴーニュNo3で頂けば、よりふくよかで、より繊細で、より緻密なモレ・サン・ドニを大いに堪能できるので、一脚欲しいところである。 熟成感を楽しみたいなら、まだ待てる。果実味を重視するならやや遅い。しかし両者のいいとこ取りを楽しむならばまさに今がベストの状態だろう。 飲み終えてなお、私はこのワインが1級であることに不思議な思いを禁じえない。例外として、特級の別枠を作ってもらいたいこのごろである。 以上 |