ヴァンサン・ダンセール
試飲日 2003年02月15日
場 所    神奈川県某所j
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方 AOC白ワイン
生産者 Domaine Vincent DANCER (Chassagne-Montrachet)
Vintage 1998
テーマ 禁断のビンテージ
ワイン Meursault 1er cru Perrières
 
<ムルソー・ペリエール>
 少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。透明感のある金色。香りは閉じ気味だが、トロピカルフルーツと、うっすらとハニー香が漂っている。グラスをつたう涙もゆっくりで、いい感じである。口に含めば、さわやかなムルソー。果実酸は少ないながらも健在で、ややこじんまりとした印象は拭えないものの、それでもしっかりとした味わいが楽しめる。ムルソーらしいヘビーな質感はないが、アルノー・アントにも通じる白桃系のエレガントさが面白い。ただこれは意外だったが、グラスをつたう涙ほどには味わい的なとろみ感はなく、さらりとした口当たりに少し不思議な思いもあるが、総じておいしいペリエールであり、ダンセールの成功に拍手である。

 1998年のムルソー・ペリエールは天候に恵まれなかったが、若きダンセールは巨匠たちが苦戦するなか、大いに善戦している。1998年を意識すれば、酸が弱く早飲みタイプは否めないものの、そう悲観すべき要素は見つからない。今がおいしいのだから。しかし、ムルソー筆頭畑のペリエールを意識して飲むと、もう少しポテンシャルがあってもいいではと、ついつい欲が膨らんでしまう。

 そして、これがこの年の特徴ならば、この年のワインを如何に楽しむべきか。腕の見せ所でもある。安易に悲観するより、合わせる料理やサービスに気を配りたくなる。それがワインを造った人への思いであり、ワインの本当の楽しみにも思えてくる。デカンタはせずに、いつもより冷やし目に、小さめのグラスで、白身肉の・・・。
 
 そういえばこのペリエール1998は二度目の試飲だ。前回はずいぶん前だが、今その時のレポートを読み返しても、当時の印象とはだいぶ違っている。これが月日の流れというものなのだろう。不思議な感覚である。

 1998年を知ったことで、ダンセールの他のビンテージの同一畑に俄然興味がわく。天候に恵まれなかったビンテージ1998をこう造り上げたダンセールは、例えば2000年にどんなワインを造り出したのか。そして今後どんなペリエールを造り続けるのか。若きエースの活躍に期待の夢は膨らんでいく・・・。


以上

 


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