ラモネ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年02月22日 | |||||||||||||||||||||||
<モンラッシェ> 暖房の効いた部屋にて、抜栓後すぐINAOへ。輝く緑がかった薄めのゴールド。重層なハニー香と奥深いマロン香がふくよかに、そして複雑に、さらには圧倒的な存在感を持って飲み手に襲いかかる。香りから発せられるメッセージに、しばらくの間たじろがずにはいられない。口に含めば、これまた圧倒的に漲るパワー。鳥肌が瞬時に立ち上り、背筋にも緊張が走る。丸みを帯びた硬質な酸がかくも立体的に、かくもリアルにそこに立ちはだかっている様は、特級モンラッシェをモンラッシェたらしめる所以だろう。凄いワインである。満身の力を漲らせる恐るべきポテンシャルと、それでも今でも十二分に堪能できる飲みやすさと、相容れない二つの要素が見事に交差している極上の味わい。余韻もすこぶる長く、ラモネ健在をアピールするに余りあるところだ。またグラスを代えていろいろ楽しむも、そのすべてのグラスでモンラシェの実力を開花させ、偉大なブルゴーニュを大いに堪能させていただいた。今宵の凄まじい出会いに衝撃は覚めやらない。 モンラッシェ。凄いワインである。これぞ世界最高の辛口白ワイン。私のメモには「力」という一文字が何度も登場し、そしてその筆圧は鉛筆の芯も折れるほどだった。ここにこの星の奇跡がある。隣接するシュバリエでもバタールでも達成できない驚異的なメッセージ。その奇跡をからだ全身で受け留め、ある種の境地を感じざるを得なかったりする。 ラモネは、クリオ・バタール・モンラッシェ以外のモンラッシェ系の特級をすべて所有する名門であり、それぞれの特徴を楽しむには絶好のドメーヌだが、いかんせん高価であり、いかんせん希少であり、おいそれとは楽しめないところが辛くもあり、そしてたまの出会いに興奮したりもする。そしてこのワインの中に、世界中が憧れる理由があった。 1998年のコート・ド・ボーヌは天候に恵まれなかった。しかし、モンラッシェはその被害をどうにか免れたようで、地の恵みをいかんなく発揮している。それをラモネは自身のモンラッシェをして、これでもかと言わんばかりに証明している。これぞブルゴーニュでよく言われるミクロクリマ(微気候)の面白さであり、それを克服する造り手の英知を見る思いもして、今宵の出会いに身が引き締まる心境だ。そして1998ビンテージをして、今から十分楽しむことができるのも、この年の特徴なのだろう。 ところでモンラッシェの直前に特級ミュジニへの再昇格が待たれるボグエのブルゴーニュ・ブランを堪能していたが、特級モンラッシェの存在感の前では、しばらく特級は見送った方がいいよと無言の忠告を感じざるを得ない。この存在感こそ、特級を特級たらしめる要因なのだろう。 写真撮影 にしかた 以上 |