ランブレイ
試飲日 2000年12月24日
場 所    神奈川県内某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOCワイン
生産者 Domaine des LAMBRAYS
 (Morey-Saint-Denis)
Vintage 1998
テーマ モレ・サン・ドニの特級畑の実力。
ワイン Clos Des LAMBRAYS (MONOPOLE)
 

<味の印象>
 黒近い深いルビー色が基調。口に含んだ瞬間のインパクトはさすがである。力強く、濃いワインである。偉大なワインが持ち合わせる辛さの中の甘さに頬も緩むが、その陰に隠れてやや鉄系の金属っぽさがある。余韻は意外に短い。INAOグラスではその実力を引き出せないのだろうか。
 難しいワインである。このワインにはグラスの差による味の差がある。同じINAOグラスではあるが、サービスされた条件の差が味に出ている。サービスの差といってもほんの僅かな時間のずれかグラスの温度差かと推定されるが、その原因は全く不明である。

 そして力強さの中に秘めた複雑さが、飲み手の実力を試してくる。うまみ成分を探す必要がある。数人で試飲したが、それぞれの表情もまちまちで、至福の笑顔もあれば、怪訝な顔もある。おそらくモレ・サン・ドニのテロワールを熟知した者がこのワインの実力を堪能できるのだろう。私は残念ながらその域に達していない。決して不味くはないが、あのうまそうな表情がうらやましくもあり、くやしくもある。ジュブレ・シャンベルタンほどの力強さはなく、シャンボール・ミュジニーのような繊細さでもない。まさに両方をたして二で割ったような感覚。するとこれがモレ・サン・ドニか。まだまだ修行が足りない。
 グラスを代えてポマールグラスで飲んでみる。おお。うまいぞ。滑らかな口当たりと繊細かつ濃厚な味わいはピノ・ノワールの悦びである。球形こそピノ・ノワールのおいしさを堪能するグラスであり、このポマールグラスはこの難しいワインを分かりやすく伝えてくれた。余韻もゆらゆらと長い。やっとあの至福に近づけた。
 このワインはズバリ1万円である。確かに高価だがコート・ド・ニュイの特級としては安い方だ。その値段を思えば、価格通りの味わいがある。ワインの世界で価格と味がイコールになることは、あまりない。この視点から見ればお買い得と言えなくもない。手元に一万円があれば何年か熟成を待ちたいワインでもある。ワインを知る人と飲みたい。そしてこの悦びを共有したいところである。このワインを選ぶか否かは、飲み手にとっての一万円という価値観によるのだろう。


<クロ・デ・ランブレイ>
 モレ・サン・ドニ村の特級ワインである。1981年にAOC法施行後初めて特級に昇格したことでも知られるが(2番目はラ・グランド・リュ)、造られるワインは裏切られるワインとして、専らこちらの評判のほうが有名だった。伝統あるこの畑は長らく荒れ果てていた。特級昇格後も評価は芳しくなかったが、1996年に現在のオーナー(高齢のドイツ人ビジネスマン)に買収されてからは、特級の実力を発揮しているという。なるほど1998年は上記のようにおいしいワインである。オーナーの目標は4年以内に最高級のワインを造ることだという。1998年を試飲する限りその可能性は非常に高いように思われる。今後のビンテージにもぜひ注目したい。
 また、このワインには単独所有モノポールの表記があるが、実際の畑には複数の所有者がいる。菜園として耕作している所有者もいれば、他の畑とブレンドしてACモレ・サン・ドニとして生産している所有者もいる。特級ワインとしてのクロ・デ・ランブレイはここのドメーヌしか生産していないので、モノポール表記も許されるのだろう。

以上


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