＜オーセイ・デュレス　レ・クレ＞
　少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。緑がかった深みを偲ばせる透明感のある金色。香りは閉じている。ビオディナミ特有の還元臭はなく、ほっと安心。口に含めば、タンニンを思わせる苦味成分が一瞬、ぞくっとさせるが、程なく消えて、重深い酒質が印象的。華やかな果実香はまったくなく、地味なまでに堅実的なオーセイ・デュレスを表現している。しっかりした果実酸と、赤ワインかと思わんばかりのタンニンに支えられ、充実した味わいが楽しい。ミネラリーなうまみ成分がタンとのっていて、余韻もしっかりある。この豊かなミネラル感は、大地の奥底の恵みを享受しているようでもある。古くて新しい味わいが興味をそそるワインだ。

　全体的に硬い。そして重く、地味である。華やかな果実味が奥に潜み、そしてその華やかさは結局、表面に上がってくることはないだろうという地味さが何とも特徴的で、硬い酸が超熟を思わせる。華やかさがない分、食事ともあわせやすそうで、素材にこだわり、素材の持ち味を引き出すような料理との相性もよさそうだ。プロの味を実感する味わいに、日本でフィーバーする理由も納得の一本である。


<シャソルネイ>
　ドーブネと同じサン・ロマンに拠点を置き、ビオディナミ農法を実践する話題の造り手。酸化防止剤も一切使わず、白ワインの発酵を樽で行う独特の製法でも有名である。


以上