ダニエル・リオン1 | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年03月08日 | |||||||||||||||||||||||
<ニュイ・サン・ジョルジュ 1級 レ・テール・ブランシュ> 少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。深みのある金色でとろみ感も抜群だ。熟れた蜂蜜香が上品に、かつしっかりと鼻になじみ、心が豊かになる。燻したナッツや穀物系統の香りも加わり、1996年にして早くも熟成感を際立たせている。口に含めば、タニックさが前面にあり、ふくよかなボリューム感が圧倒的である。果実酸の角も丸みを帯びて、しっかりとした中に優しさも垣間見せている。味わいは本格辛口の装いで、こびた華やかさとは無縁のような、自ら先頭に立って辛口白ワインの本筋を突き進む感がある。 ところが、である。口に含んで飲み込む直前、このワインは急降下のごとく、水っぽい味わいに変化した。え。どうしたと思いつつ、今一度口に含む。そうすると、先ほどのボリューム感はなくなっており、何とも平板な味わいになっているではないか。あれれ。がっかり。しばらく心沈んでいると、こんどはまた上昇してボリューム感が復活する。まさにV字復活である。なんだ。まるでジェットコースターに乗っているかのようなアップダウンだ。 なぜ、急下降し、かくもV字復活を遂げたか疑問だが、この意表をついた味わいに新鮮な驚きを隠せずにいる。これもまたワインの味わい。ダニエル・リオンのちょっとした遊び心だろうか、単なる体調の変化だろうか。甘みを感じないためだろうか。いずれにしてもいい経験である。V字復活後は、熟れた蜂蜜の香り立ちがより豊かになりつつも、味わいは常に本格辛口をキープ。香りと味のギャップに戸惑いながらも、充実した味わいが長い時間楽しめる。 エチケットにあるLes Terres Blanchesとは、直訳で白い大地。 なんとも、ぶどうが実る様を想像させる言葉だろう。 以上 |