＜ヴォーヌ・ロマネ　1級　レ・ボーモン＞
　抜栓後すぐINAOグラスへ。黒く深いルビー色。熟し気味の黒系果実にタールが混ざり、粘土を思わせる土壌香が充実している。気持ち動物香もあるようだ。ルロワ節全開であり、この深く、奥行きのある香り立ちは、さすがである。口に含めば、強い酒質が驚異的。ねっとりするような重みのある味わいは、複雑であり、構造的な骨格が骨太の状態。ミネラル分を大いに感じ、まだまだ開けられるのを拒みつつ、今あけたのなら十二分にこのワインを楽しんでいきなさいと身元でマダムに囁かれているような錯覚に陥ったりする。

　ロブマイヤのNo3.(通称ヴォーヌ・ロマネグラス)に注げば、完璧と言いたくなるような味わいが展開されている。力強さを根底に忍ばせつつ、ヴォーヌ・ロマネちっくなアンニュイなニュアンスやオリエンタリックな雰囲気をも感じさせてくれるから凄い。バックテイストの充実ぶりにも目を見張るものがあり、思わずグラスを持ったまま驚愕と喜びが錯綜する溜息をせずにはいられない。恐るべしルロワ。すばらしすぎる。

　このワインはまだまだ熟成させたほうが、よりこのワインのポテンシャルの高さを堪能できるかとも思われるが、今飲んで十二分においしいがために、大切な人と大切な夜に飲むのもまた楽しからずやである。大切な夜にドメーヌ・ルロワ。そんな夜が早く来ないかな・・・・・である。
　
　No.337 / 6438


以上