コルトン・シャルルマーニュ大会
試飲日 2001年1月6日
場 所    神奈川県内某所     
照 明 白熱灯
種 類 フランス AOC特級ワイン
生産者 ルロワ & ルイ・ラトゥール
Vintage 1993 et 1997
テーマ コルトン・シャルルマーニュ大会 大失敗の巻
ワイン Corton Charlemagne 1993 Domaine LELOY
Corton Charlemagne 1993 Domaine Louis LATOUR
Corton Charlemagne 1997 Domaine Louis LATOUR
 

<はじめに>
 今回のレポートは特別企画です。ワインセミナーに通う有志5名に、私の持っているワインを飲んでもらい大いに盛りあがろうという企画を、たてたまでは良かったけれど、コルクを抜いた結果はワイン史に残る大失敗。このドリンキングレポートにその名を記し、反省材料としたい。


<ドメーヌ・ルロワ 1993 コルトン・シャルルマーニュ>
 ゴルドングジャ・ルルマーグニュと呼びたくなるような逸品。コルクがキャップシールを押しのけようと首を出しかけているので、ちょっと心配ではあった。噴いた跡もありキャップシールはへばりついている。んん。これは、はずしたかな。長いコルクは赤く染まり、本当に白ワインのコルクなのか目を疑りたくなっている。いよいよ、はずしたぞ。INAOに注がれた香は、首までも傾げさす刺激臭。この特級白ワインの特徴であるマロンフレーバーは微塵も感じられない。それどころか、嗅ぐごとに不快感を感じる。味はもっとひどい。嫌になる苦味というか腐った酢を飲んでしまった感覚。不味い。これは不味い。ボルドーグラスに注いでみてもその不味さ加減は軽減しなかった。完全に劣化しているぞ。大変まずうございます。初めてのドメーヌ・ルロワ白特級のデビューとしては手痛い一本。
 2000年春頃購入。市場価格の半値以下。購入場所は神奈川県北部某所。
 No.1255/2016 


<ドメーヌ・ルイ・ラトゥール 1993 コルトン・シャルルマーニュ>
 ルロワの大失敗を受けて汚名挽回をはかるべく、急遽セラーから出した逸品。今度のワインは、ゴギョギァゴォン・ガジャグュジャギヤァァァァァァと叫びたくなった。更に輪をかけて腐っていた。ルロワはまだ全員のグラスに注ぐことはできたが、今回のはホストテースティング用のグラスに注いだとたん、鼻をつまみたくなる異臭。鼻を近づけただけで悪寒がする。うぉぉぉぉぉ。金返せ。ぎぁぁぁぁぁぁ。助けてくれ状態。色合いは上品な黄金色で十分なとろみ感もあるが、これはすでにワインではなかった。参加者全員のしかめっ面が、私の立場を崖から突き落としてくれている。あはは、である。これは、このままでは引けない。ほんまモンのコルトン・シャルルマーニュを出すまで、この会は終わらないぞ。
 抜栓前のコルクは沈みがちで、エチケットには目立った汚れはなかった。
 キャップシールはルイラトゥール社200年記念版。
 2000年2月頃購入。購入場所はルロワと同一。価格は市場価格よりかなり安かった。


<ドメーヌ・ルイ・ラトゥール 1997 コルトン・シャルルマーニュ>
 ついに三本目が登場。時間にして僅か10数分の出来事である。もうコルトン・シャルルマーニュは持っていないので、これが最後の大勝負。よかった。このワインはうまい。貴賓溢れるアロマは、これぞである。低めの温度設定のためかマロンフレーバーは控えめだが、とろみがあり濃縮感のある味わいは、さすが特級ワインである。大変おいしい。ふう。よかった。でも一瞬にして3本もなくなってしまった。あはは。
 2000年2月後半購入。購入はいつもの某店。


<まとめ>
 三本目のL.Lのワインは購入してから約一年マイセラーで保管していたワインである。買う前に数本飲んでいたワインでもあり、その味に劣化はなかった。ということは、今回の大失態は、私のセラーの保管上の問題ではない。つまりこの二本は購入以前に既に劣化していたことになる。そういえば値段はだいぶ安かった。安さにつられ、うはうは気分で買った頃の自分が情けなくなってくる。
 最近はインターネットでワインも売買されているが、保管状態の全く不明なワインを見ず知らずのところから買う勇気は、今回の事件により完全に消失した。値段につられて買うと痛い目に遭う。3万円のワインが1万そこそこで買えても、中身が腐っていたら1円の価値もない。2万円得した気分で、1万円損してしまったのだ。しかも二本も。これは笑うしかないだろう。あはは、だ。
 ワインの劣化には直射日光の影響や、酸化、高温放置、低温放置などが考えられる。今回のワインは一度栓を開けてそのまま放置し、7年後に飲んだという感覚だ。うまいわけがない。ワインがドメーヌから出荷されて、日本の我が家に届くまでの道順や保管状態を知りえない一般消費者としては、ワインの品質は購入先のお店を信用するしかない。憧れの腐った大銘醸を何年も仕舞って置くのは滑稽を通り過ぎて哀れである。今回の失敗劇は高い授業料になってしまったが、ワインを知るうえで良い経験にもなったと自分を慰めてあげることにしよう。そして、この貴重な経験を共有できた友にお詫びしつつ、大いに同情してもらうぞ。

 以上


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