フレデリック・マニャン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年1月1日 | |||||||||||||||||||||||
<味の印象> 紫色を含んだ濃いロビー色は限りなく黒に近く、ピノノワールとは思えない存在感がある。花系の香は澄んでいて、やや木の香も含んでいるか。口に含めば濃縮な味わいと力強さに圧倒される。決して甘くなく、正統派の辛口ワインの印象である。時間が経つにつれ香に焦したチョコレート香が現れる。甘い焦した香に反して味わいは、頑固として辛口である。タンニンの刺激もうまみ成分を助長し、飲みごとにこれは凄いぞと思わせる。飲み込んだ後に戻ってくるうまみ成分を堪能し、偉大なモレ・サン・ドニの代表格たる前評判を素直に受け入れる時、やはり悦びに包まれた。 1996年という偉大な年の卓越し造り手によるこのワインは、長熟タイプの予感がある。数年後、力強さがやさしさに変わるときこそこのワインの真の飲み頃かもしれない。しかし今をもってして、その偉大さを表現し得る底力にはモレ・サン・ドニへの果てしない誘惑にもかられる。 2000年11月マニャンセラー蔵出し <フレデリック・マニャン> フレデリック・マニャンの偉大なワインは父ミッシェル・マニャンのそれと同じく、アメリカのノース・バークレー・インポーツ社に買い占められることで有名である。ロバート・パーカーのテイステイングコメントも全て同社向けの特別キュベからあり、今回のワインは同社への出荷を免れて日本に出荷された特別キュベで、その数僅か2ケースである。貴重なワインであるが、十分その偉大さは伝わってくる。 フレデリックは若く、今後のブルゴーニュを担う造り手である。その実力をいち早く見抜いたのがノース・バークレー社である。同社が買い占める理由を今回のワインは見事に証明していた。彼の極上のワインがアメリカ市場でしか手に入らないのは、至極残念なことである。しかしどこにでも例外はあるもので、今回のワインを日本で、しかも新世紀を祝う酒として楽しめたのは、幸運であった。こいつは春から縁起が良いぞ。 ちなみに父のミッシャル・マニャンはルイ・ラトゥール社のネゴシアン部門(メゾン・ルイ・ラトゥール)の畑の管理者でもある。 以上 |