ドメーヌ・フィリップ・ナデフ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年05月31日 | |||||||||||||||||||||||
<マジ・シャンベルタン> 抜栓後すぐINAOグラスへ。ガーネットを配する黒系ルビー色。黒系果実に土壌香がプラスされ、紅茶、なめし皮が加わる熟成モードながら、まだまだ果実味も豊かである。口に含めば、ハードボイルドを彷彿とさせる本格辛口。言葉は悪いが、「お嬢さん、今夜はオンナ、子供に用は無い」とシックなカウンターでバーボングラスの氷を転がしながら、ひとり呟く北方○三を思い起こす。バーボンの代わりに、マジ・シャンベルタン。そんな印象を受けるのである。しっかりとした果実酸と強固な骨格を形成するタンニンが、「辛口」のテーマで結びつき、圧倒的な存在感を見せつける。甘みはないが、しっかりとうまみ成分を蓄えて、余韻は長い。さすがグランクリュの力強さと一本筋の通った迷いのない味わいにクラシックな魅力を受け留める。いい。これぞ、マジ・シャンベルタンの男気を見るようで、テロワールの強烈なメッセージが飲み手をそそるから面白い。 頑固で寡黙なオヤジの見事なまでの仕事振りに、ピノ・ノワールの果てしない魅力を感じたりする。このワインは昔はどの町にもいた厳ついガンコ親父の姿に重なる。普段はおっかないが実はいい人、そんなオヤジである。そんなオヤジに会いたくなったら、マジ・シャンベルタンという名のこのワインのことを思い出そう。 以上 |