ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年05月31日 | |||||||||||||||||||||||
<モレ・サン・ドニ 1級 クロ・ド・ラ・ビュシエール> 抜栓後すぐINAOグラスへ。ガーネットが始まりつつある熟成感漂うルビー色。この村らしい内にこもったような内蔵臭的な動物香があり、熟成を彷彿とさせる燻し香に加えて、黒系の果実と赤系の果実が品よく混ざり合っている。口に含めば、赤系果実をメインにエレガントな味わいを醸し出してくる。色合いからして黒系果実の方が強いかと思いきや、フランボワーズ系の赤い果実が印象的だ。酸味とタンニンのバランスも上品なまとまり感がある。ずしりとした重層感はなく、意外に軽快感もあるから面白い。余韻は短くはないものの、もう少し伸びがあってもいいかと思われる。おそらくは、今後はゆっくりと下り坂に向かうであろう味わいは、黄昏ていて、何とも穏やかなのである。 巷では1995のルーミエは成功していると評価されるが、なるほどそれを裏付ける味わいに、うれしい反面、他のアペラシオンがまだまだ力を帯びていることを考え合わせると、このモレ・サン・ドニの熟成スピードの早さも感慨深い。秘めたるタンニンに支えられつつ、まだまだ果実味を残しているので、しばらくはこのエレガントな味わいを保ち続けるであろうが、今後はグイグイ上昇する気配というよりも、ゆっくりと落ち着く場所を探しいてる風情を感じるので、この味わいが確かなうちに飲むのが個人的に良いかと思われたりもする。いずれにしても、この媚びない甘みの熟成感を楽しむと、背筋もぞくぞくするから不思議である。今宵の出会いに感謝なのである。 以上 |