ジョセフ・ロティ
試飲日 2001年1月9日
場 所    都内某所
照 明 白熱灯
種 類 フランス AOCワイン
生産者 Domaine Joseph Roty (Gevrey-Chambertin)
Vintage 1998
テーマ 1998シャルムのトップ
ワイン Charmes-Chambertin Cuvee VV
 

<味の印象>
 鮮やかなルビー色。このクラシックな味わいはさすがである。媚びるような甘さはかけらもなく、刺すような辛さが印象的である。正直難しいワインである。低温浸漬の甘さに慣れているとこの古風なワインには戸惑いを覚える。しかし、ワインをゆっくりと口の中で遊ばせ、唾液が混ざるほどに時間を置いた後に飲み込めば、うまみ成分の心地よさが余韻となって現れる。鼻の奥にうまみの塊がが残っている。これが本当のうまさなのだろう。決して派手さはないが、その落ち着きのある味わいには趣がある。大人のひそかな楽しみ的なワインである。このワインの持つ潜在能力は、飲み手にその捜し求める能力を要求してくるが、諸先輩方の助言を借りつつ、この大人の味わいを堪能できた。おそらく一人で飲んだのでは、ただの難しいワインで終わったことだろう。難しさを1998年という難しいビンテージのせいにもしそうである。
 わかりやすいワインはこの村にはたくさんある。しかし分かりやすいだけでは、ワインの深みを知ることはできない。ロティのシャルム・シャンベルタンはブルゴーニュの真の奥深さを心地よい酔いと共に知らしめてくれる。決して安いワインではないが、ブルゴーニュワインをこよなく愛する人と一緒に味わえば、ブルゴーニュ談義もしばらくは尽きることがないだろう。

 2000年12月ロティの最終セラー蔵出し・空輸便 ワックスシーリング


<ジョセフ・ロティ>
 今回のシャルム・シャンベルタンは1881年に植えられた古木からのスペシャルキュベで、その樹齢はブルゴーニュで最も古いとされている。つくづくこのドメーヌが所有する特級畑は古木に恵まれている。看板のグリヨットとマジは樹齢80年を数えているのだから。この古木こそロティの味わいを特徴づけ、すばらしい評価を受ける所以でもある。
 このドメーヌの筆頭格はグリヨット・シャンベルタンで、今回のシャルムよりも1万円ちかく高値で取引されるが、不思議と味わいそのものは、このシャルムやマジ・シャンベルタンを押す声をあちこちで耳にする。是非比べてみたい衝動にかられるが、貧乏と希少さゆえ、そんな贅沢は来世紀に持ち越したほうがよさそうだ。
 ジョセフ・ロティはビンテージにより品質にばらつきがあるため、この村のトップグループに数えられないが、当たり年には本当に偉大なブルゴーニュを造るクラシックタイプの造り手である。またジョセフ・ロティは愛煙家(チェーンスモーカー)としても有名である。

 以上


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