モーム | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年08月16日 | |||||||||||||||||||||||
<シャルム・シャンベルタン> 抜栓後すぐINAOグラスへ。黒みを残す深いルビー色。黒系果実に、タールのような石油香が入り混じり、野性味豊かな動物的なニュアンスも感じられる。口に含めば、ドライでストレートな味わい。一瞬これが女性的と比喩されるシャルム・シャンベルタンではなく、男性的で筋肉質と表現されるマジ・シャンベルタンではなかろうかとエチケットを確かめる趣が面白い。味わいは閉じ気味、というよりはベクトルが内側に向いていて、硬質な筋肉によって骨格を支えている感がある。とことんクラシックで、余計な甘みを排除した本格辛口の様相は、ピノ・ノワールの男気ここにあり、なのである。 ただこのドライなストレート感は、やや単調で、複雑さを期待していると微妙に裏切られる印象も否めず、通り一辺倒的なところが辛くもある。もうひとつ、あと何かひとつ、味わいに要素が加われば、これはモンスターワインになりうるのだろうが、残念ながら、ここに見えないハードルを意識させたりもする。されど、不器用なまでにピノ・ノワールの本来のあるべき姿を映し出そうとするモームのワインもまた、ブルゴーニュ魂であることに違いはない。ワインのこんな一面もまた、愉しからずやなのである。ハードボイルドに決めたい夜に、こんなシャルム・シャンベルタンもちょっといいかも、である。 以上 |