ポンソ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年08月16日 | |||||||||||||||||||||||
<クロ・ド・ラ・ロッシュ> 抜栓後すぐINAOグラスへ。薄いガーネットの色合い。香りは弱含みながら、干しイチヂクや枯葉、なめし皮などが感じられ、熟成モード全開である。口に含めば、弱々しさを感じつつも、ミネラリーな味わいで、それほど悲観すべき状態にはなく、静かさをベースにした熟成基調に好印象だ。しかし、およそ8年前のワインとは思えないほど熟成は進んでいて、(あたかも30年以上の歳月を感じさせる・・・)、老いゆくピノ・ノワールに妙に感傷的になってしまったりする。 このワインは、静かなのである。果実味がぎりぎりのラインで持ちこたえ、、丸くなりすぎたタンニンと滑らかな酸が、力の限りこのワインを支えようとしているようでもある。特級ワインが持つパワフルさとは無縁な味わいであるが、この繊細でエレガントなタッチは、ただ強いだけが特級ではないぞと語りかけているようでもある。いずれにしても生を受け、そして老いゆく老兵の姿に重なる味わいは、ピノ・ノワールの意外な熟成カーブを表しているようで興味も深い。薄い色合いといい、か弱い質感といい、余韻の短さといい、このワインはどこか飲み手を感傷的にさせるから不思議である。 今宵、このタイミングで出会えたことに感謝である。 以上 |