ロベール・アルヌー
試飲日 2003年9月16日
場 所    ロンフウフォン     
照 明 シャンデリアとスポットライト
種 類 フランス AOC赤ワイン
生産者 Domaine Robert Arnoux (Vosne-Romanée)  
Vintage 1976
テーマ 中華と古酒
ワイン Bourgogne

<ブルゴーニュ ルージュ>
 
抜栓後すぐブルゴーニュ用グラスへ(推定リーデル・ヴィノムシリーズ)。熟成感たっぷりのガーネット色は薄く儚い色合い。香りは妖艶系で、プラム、干しイチヂク、乾き目の土壌香、なめし皮が優しく漂っていて好印象だ。口に含めば、まだまだ生きている。心地よい酸味とぎりぎりの線で持ちこたえているタンニンが、ワインに構造を与え、うまみ成分も、たんとあるから不思議だ。27年前のブルゴーニュにして、まだまだ健在をアピールするところもまた楽しからずやである。しかし、さすがに味わい自体は複雑性はなく、少し単調。余韻は短くはないが、長くもない。しかし、しっかりと食中酒としての役割は果たされているので、ちょっとびっくりだ。

 27年前のブルゴーニュがここまで活き活きとしているのには不思議だ。しかし、コルクやラベルにそれを裏付ける痕跡があった。まず、コルクは打ち直されている(リコルク)。これは液面との接地面だけが薄く色づいているために想像でき、リコルクされていないコルクは全身にワインが染み込んでいて、普通はボロボロになっているものだ。これは推測だがリコルク時に目減り分を補充した可能性があり、酸化防止剤も多めに調合されているかもしれない。そうでなければこの活き活きとした味わいに説明がつかない・・・。そしてもうひとつの痕跡として、ラベル(エチケット)が汚れておらず、真新しさを保っていることが挙げられる。2000年にアルヌはエチケットを一新しているが、今回のそれは1999まで使用されていたもの。おそらくは1990年代の後半にセラー蔵出しされたものと推定できるのだ。したがって前世紀中のある日、アルヌのセラーを蔵出しされたワインがその出荷時に、目減り分を補充されて、エチケットを貼って出荷されたものと推定される。

 いずれにしても1976年に収穫されたワインが、中華の食卓に並ぶとき、天の恵み、地の恵みに感謝する。そしてその恵みを出来る限りボトルに維持するために、いろいろと工夫がされているのだろう。ここは楽しい食卓。おいしいワインをおいしく飲むための工夫に感謝しよう。


以上
 


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