ベルナール・デュガ・ピィ
試飲日 2003年11月24日
場 所    甲府某所     
照 明 不明
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン
生産者 Bernard DUGAT-PY (Gevrey-Chambertin)
Vintage 垂直
テーマ デュガ・ピィ垂直
ワイン Gevrey-Chambertin Coeur de Roy

<ジュブレ・シャンベルタン クール・ド・ロワ>
 
抜栓後すぐデカンタージュして、瓶内の澱を取り、再び同じ瓶にワインを戻して栓をして外気にて空冷し、2時間経過後にINAOグラスへ。これは、本来はデカンタージュのまま2時間待ちたかったが、デカンタを5つ用意できなかったための措置である。試飲順はビンテージの若い順にして、ひとつのビンテージをゆったりと味わいつつまだグラスにたっぷり状態のときに次のビンテージに移った。色あいはビンテージごとに微妙なニュアンスの差はあるものの、かなり濃い目のルビー色で共通していた。

<2001>
 黒系果実の香り立ちの勢いが強く、ボディ感がたっぷりとしている。カシス、バラ、スミレ、ブルーベリー、チョコレートが豊かにかつ濃縮されている。タニックでまだまだ開けられるのを拒んでいるような若々しさが好印象。このボリューム感とポテンシャルの高さは、一流の造り手の一級以上と推測され、デュガ・ピィ恐るべしの信号が点滅しまくっている。パワフルな果実味もまた、おいしいからうれしい。余韻は長く、上品で滑らかさを伴うおいしいワインである。


<2000>
 ブルベリーとカシスの香りが強調され、チョコレートは陰に隠れている。2001年に比べ、エレガントなタッチが印象的で、赤系果実を連想させる優しい味わいが「飲み頃」を意識させたりもする。香りにはスパイシーなニュアンスもあるようだ。舌の両端を心地よく刺激する酸と滑らか、かつしっかりとしたタンニンとボディの厚みのバランスが優しさで共通し丸みを帯びた味わいだ。かなり好みの味わい。

<1999>
 抜栓直後は硬く閉じていたが、2時間経過した後の1999は硬さはとれているものの、ややバランスを欠いた印象は否めない。カシスとベリーの黒系果実は共通し、酒質の高さも意識させるが、酵母からくると思われる酸味とバランスの不安定さがワインの難しさを知るところである。時間と共に硬さが復活し、1999のビンテージを意識するとやはりこじんまりとしているかもしれない。1999に限ってはこの飲み方ではなく、他の方法を選択すべきかなあと思いつつ、それでも高レベルでの些細なニュアンスの違いだけなので、次回巡り合うことが出来るとすれば今一度挑戦してみたくもなる。しかしそれでも、グラスに残ったワインからは、紅茶やシガーの香りも立ち、やはりナイスな感じなのである。

<1996>
 前作3本の間には明らかに深くて広い川が流れている。香り立ちのインパクトが驚異的で、鼻を近づけただけで、「うっ」とびっくりするような極上のブーケが全身の細胞に不規則な振動を与え、じわりとした感動を呼び起こさせたりする。干しイチヂク、紅茶、シガー、なめし皮といった熟成香が黒系果実に優先し、何とも複雑で豊かなのである。口に含めば、滑らかさが群を抜いていて、赤系の果実味から、徐々に黒系果実へと変わりゆく様も極めてエレガントである。ああああああ。と思わず声には出さずとも心に響かせる極上の一杯。エキゾチックであり、官能的な味わいは少しばかりHだったりもする。当初の予定では、もっと硬さがあるものと推測されたが、この熟成感は2002年に飲む1997年ビンテージ的であり、2年遅れで同じようなニュアンスに到達したような、そんな印象を持ったりしつつ、もう出会えないかもしれない切なさも感じざるを得ないから、複雑な心境である。余韻は格別に長く、うまみ成分に体をゆだねつつ、極上のときの流れにしばし酔いしれたい心境だ。


<まとめ>
 いやいや、デュガ・ピィ恐るべし。いいぞ。
 甲府で体験できたことに感謝しつつ、ワインのおいしさを知るこのごろだ。


以上
 


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