アンヌ・グロ
試飲日 2001年2月6日
場 所    都内某所     
照 明 白熱灯
種 類 フランス AOCワイン
生産者 Domaine Anne Gros (Vosne-Romanée)
Vintage 1998
テーマ アンヌ・グロの1998
ワイン Chambolle-Mugigny La Combe d'Orveaux
Vosne-Romanee Les Barreaux
Richebourg
 

<シャンボール・ミュジニー・ラ・コンブ・ドルヴォー>
 明るく透明感のある赤。その色合いには薄ささえ感じる。しかし口に含めばしっかりとした口当たり。見た目の鮮やかさと味の深さのギャップに少し驚く。この驚きもブルゴーニュの楽しみのひとつである。渋みを感じつつ、それでいて華やかである。軽いココアを感じるアロマは、ややもすると剥きたての甘栗になりがちだが、この甘さを携えた味わいには思わず頬も緩んでしまう。それにしても上品な味わいである。
 畑はフラジェ・エシェゾー村(特級エシャゾー)に隣接するが、ACシャンボール・ミュジニーとしては飛び地のような場所にある。背後は山である。直訳すればオルヴォーの渓谷。同名の一級畑もあるが、こちらは特級ミュジニーと特級エシェゾーの間にある。
 余談ながらこの畑の名は日本人には昆布泥棒を彷彿させる。きっと北の海で漁師の目を盗んで漁場を荒らしているのかなと、見当違いの空想がテイスティングの邪魔をしてくる。


<ヴォーヌ・ロマネ・レ・バロー>
 濃い色合いである。この色合いはこの村にしては非常に濃い感じを受ける。黒系がうまく入り込んだルビー色は、直前のシャンボール・ミュジニーとの対比にも興味を感じる。同じつくり手の同一ビンテージにして畑の位置が若干違うだけで、こんなにも差が出るのだから不思議である。口に含めば、今度は見た目と同じ味わい。濃くって強い。歯茎を刺激するタンニンはこれまた楽しいひとときである。時間と共に甘味を増し、北米市場で支持される理由も垣間見られる。一杯目ではややもの足りなさも感じたが、二杯目を注がれてからの濃縮感のある深い味わいへの変化は畑の実力だろうか。うまい。しかし、高い前評判に比べるとややもの足りなさというか、イメージの違いも感じざるを得ない。これは1998というビンテージゆえんか。
 畑は村名ながら特級リシュブールと一級クロパラントーに接している。


<リシュブール>
 明るくも深みのあるルビー色。ちょうど前作二本の中間のような色合い。さすがグランクリュである。その存在感は十分発揮している。濃厚なエキスは力強さを持ち合わせ、重みがあるのに飲みやすくもある。ミネラル分を含んだ味わいは、塩っ気をかなり感じる。口に含んでいる時から唾が溢れるような感触は偉大な特級の特徴だ。この塩味は料理とあわせやすそうだ。ソースのかかっていない赤身のある肉と共に食したくなる。この塩辛さが肉のうまみを引き出しそうだ。おや、時間の経過と共にミネラルな味わいに甘味が増してくる。とても高いレベルで上品にまとまっている。このクラシックタイプの味わいは万人受けはしないが、通好みであり、微妙に背筋をくすぐってくる。
 以前同じグロ一族のグロ・フレール・エ・スールのリシュブール1997・1996をテイスティングしたが、残念ながらその時ほどの感動はなかった。あの時感じた鳥肌が立つようなインパクトなかった。しかし他のビンテージも味わいたい。そんな欲求が満ちてきて、ブルゴーニュの終わらない魅力に身を任せてしまう。感謝である。

以上


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