ベルナール・セルボー | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年01月03日 | |||||||||||||||||||||||
<モレ・サン・ドニ1級レ・ソルベ> 抜栓後すぐINAOグラスへ。深いルビー色は気持ちガーネットに移行しつつあるようなニュアンスを持っている。香りは少し特筆すべきものがあり、同時にいくつかのINAOグラスに注いだなかで、ひとつだけマシュマロを思わせる甘いアロマが強烈に漂っていた。しかし他のグラスからはそんなニュアンスは微塵も感じられず、つくづくグラス差による香りの違いを思わずにはいられない。これだからピノ・ノワールは楽しいのだ。私が手にしたグラスからは、カシスやベリー系の香りが確認できるものの、俗に言う非常に閉じた状態で、今開けられるのを拒んでいるかのような印象である。口に含めば、非常にクラシックな味わい。甘くない果実味と硬い酸が、一見平板を装っているものの、しっかりとしたポテンシャルを秘めた実力を時折除かせたりしている。時間と共にこれまた固いタンニンがゆっくりと解けていくような印象を受け、クラシカリーな味わいが好みの人には、ちょっといい感じである。艶やかさや華やかさとは無縁な頑なな存在ながら、しっかりとした酒質に、このワインをいかにすればおいしく楽しめるだろうかと空想させるパワーはちょっと知的だ。 1995のブルゴーニュの赤は非常に硬い酸が特徴的だが、それをゆっくりと解いていけるかどうか、飲み手の好奇心と力量が試されているようでもあり、ちょっと通好みのナイスなワインかもしれない。個人的には気持ち高めの温度でデカンタージュして、やや開かせた状態でスタートし、ゆっくり時間をかけて移ろいゆく味わいを楽しめれば至福のひと時を共有できると思ったりする。(もう一度出会えれば、の話ではあるが・・・) 以上 |