ルネ・バルビエ
試飲日 2003年12月30日
場 所    ロンフウフォン     
照 明 シャンデリアとスポットライト
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン
生産者 René BARBIER (Dijon)
Vintage 1957
テーマ スペシャルな夜に、森田さんお勧めの古酒を
ワイン Vosne Romanée

<ヴォーヌ・ロマネ>
 
抜栓後すぐブルゴーニュ用グラスへ。美しいガーネットの色合いが、輝いている。香りにはパンチ力があり、まだまだ果実味も健在の装いに、まずもってビックリさせられる。干しイチヂク、赤系果実、なめした皮、台湾系中国茶、紅茶のニュアンスが複雑に、かつガツンと鼻腔を刺激して、およそ醸造から46年以上経っているワインとは思えない力強さに圧倒される。そして熟成したワインにありがちな醤油香やもろみ香はなく、う○こ臭さも感じられないところが驚異的にすばらしい。口に含めば、うまみ成分が固まっていて、ことごとく滑らかな味わいにして、グイッと仰け反らせるパワーにピノ・ノワールの真髄を見る思いである。余韻も長く、至福のひと時が永遠に続いてくれそうな気配も楽しい。時の流れを実感しつつも、このパワフルさは俄かには信じがたい熟成の妙に感謝感激である。

 そしてロンフウフォンの柳沼哲哉シェフ自慢の料理との相性もバッチシで、中華料理とピノ・ノワールの競演にしばらくは言葉は失ったままにしておきたい。す、凄いかもしれない。こんな味わいがピノ・ノワールで達成しうるなら、手元のワインをすべて40年間は封印したくなる気持ちになりつつ、今まで古酒と呼ばれるワインのなぜか儚い味わいを思い出しては、戸惑いながら、優美なブルゴーニュワインを楽しむひと時に、うっすら目元も緩むというものだ。そして、そして、ふと横を見れば、店内には私たちしかいなくなったテーブルにサービスをしてくれようとするメートルの森田賢一さんがいる。森田さんの年内最後の夜の最後の客ということでスペシャルにサービスしてもらった極上ワインを一緒に楽しませてもらった日にゃ、感激もひとしおなのである。

 ここに感動がある。そして年が明けて、森田さんから頂戴した年賀状拝読しつつ、あのうまみ成分が蘇ったりするこの頃なのである。感謝。


以上
 


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