村名大会
試飲日 2001年2月4日
場 所    神奈川県内某所   
照 明 自然光+白熱灯
種 類 フランス AC特集
生産者 ブルゴーニュを代表する造り手
Vintage いろいろ
テーマ ブルゴーニュの村名クラスを持ち寄って、
大いに楽しむ
ワイン AC村名クラスなど
 

<はじめに>
 今回のレポートは特別企画です。ワインセミナーに通う6名の有志がワインを持ち寄って、ブルゴーニュワインについて大いに語り、大いに飲もうという企画の第二弾。行きつけのワイン専門店からとっておきのワインもゲットして楽しい宴が始まった。時は如月。時節柄遅い新年会を兼ねて、眺めのいい某所に集合した。持ち込むワインのグレードはブルゴーニュ地方の村名クラス。シャンパーニュで乾杯し、赤4本。おまけの貴腐ワインが宴の終りを告げ、やはり昼から飲む酒はうまかった。


<ラインナップ>
 ペリエ・ジュエ    ビンテージシャンパン    1989 キュベ・ベルエポック
 ドミニク・ローラン  ジュブレ・シャンベルタンVV 1997
 ジョルジュ・ルーミエ シャンボール・ミュジニー  1995
 ダニエル・ボクネ   ニュイ・サン・ジョルジュ  1995
 アンリ・ジャイエ   ニュイ・サン・ジョルジュ  1998
 ユエ         ヴーブレー         1997 キュベ コンスタンス  


<試飲順について>
 複数のワインを飲む時、その順番をあれこれ考えるのはとても楽しいひとときだ。特に今回のようにブルゴーニュ地方コート・ド・ニュイ地区の村名だけの場合は、ワインのランクは同列なので、そのAOCの特徴や造り手、ビンテージなどを知ってこそ順番が決めれる。今回は上から順に試飲した。シャンパーニュとヴーヴレーの貴腐は置いといて、真中の赤四本の順番には頭を使ったが、結局この順番で大正解。有志たちの実力には興奮すら覚えてくる。感謝である。
 ジュブレ・シャンベルタンはシャンベルタンを筆頭とする銘醸ワインの大産地であり、赤系も黒系もある濃くって強いAOCである。ただドミニク・ローランは比較的万人受けするワインを造る。ルーミエのクラシックな力強さのあとでは少し厳しかろう。また1997も良いビンテージであるが、より偉大な1995と比べると初めに飲むのもがよいかと思われた。
 ジョルジュ・ルーミエはシャンボール・ミュジニを代表する造り手であり、彼のボンヌ・マールはブルゴーニュ屈指の名品である。今回のワインの評判もすばらしく、飲む前からその実力は知るところである。当然ラストを飾るにふさわしいが、今回のメインはアンリ・ジャイエを意識せざるを得ないため、敢えて二本目に試飲した。また、ダニエル・ボクネもジャイエと同じくニュイ・サン・ジョルジュでありその繋がりも、楽しそう。ルーミエとボクネで年号を意識し、そのあと二本のニュイ・サン・ジョルジュを意識する。いい流れだ。すばらしい。


<コメント>
Perrier JOUET
 果実味が溢れ、コルクを抜く瞬間からさわやかなアロマが鼻をくすぐってくる。色合いは黄色に近い金色。フレッシュな感触と十分な飲み応えはこれぞシャンパーニュである。やはり宴の始まりにはこの泡が必要だ。


Dominique LAURENT
 明るいルビー色。この村の古木にしては色が鮮やかすぎるか。またこの甘い香はこの村の特徴にはなさそうだ。口に含むと甘さが印象的。しかし飲み込む頃には苦味を感じ、甘さもべたつく感がある。飲み終えた後のもたつく残存感が少しがっかり。そういえばコルクには噴いた形跡があり、コルクも沈みがちだった。決して傷んではいないが、明日から劣化しますと宣言しそう。ワイン単独では残念だったが、ビーフシチューとの相性は良かった。なんかフォローできていないな。吟ちゃんごめんね。


Domaine Georges Roumier
 デカンタしてしばし待つ。この待ち時間もいい時間の過ごし方だ。濃いルビー色。ううう。うまい。クラシックな味わいを基調としながらも果実の甘さも感じる。これはうまい。繊細で絹のような喉ごしながら、力強いインパクトがなんともうれしい。大変おいしゅうございます。


Domaine Daniel BOCQUENET
 キュベ・ノースバークレー。デカンタしてしばし待つ。事前の情報に寄れば今がまさに飲み頃のはず。ロバート・パーカーもボクネの実力には一目置いているが、小規模のドメーヌのため市場で見かけることは少ない。今回始めての経験だったが、この味わいもすばらしかった。ボクネの虜になりそうである。濃いルビー色はルーミエとほぼ同じ。エキスの詰った味わいは、ほのかに土壌香を感じ、この村の特徴をしっかり押さえている。甘味に媚びることなく端正でクラシックな印象。深みがありシルキーな飲み応えは、ちょっといいぞ。大感謝である。


HENRI JAYER
 デカンタして30分。まず驚かされるのは色が薄いこと。おそらく今まで飲んだ極上ワインの中で最も色が薄い。ルビー色を基調にしながらも、派手な鮮やかさはなく、かといって深いわけでもない。しかしこの色は見ていて全く飽きない。この色こそピノ・ノワールの究極の色素なのだろうか。
 INAOグラスからは甘い果実の香。新鮮な赤い果物のあのふっくらとした香が 背筋をぞくぞくさせる。極上のアロマが立ってくる。うおおおお。 口に含めば香と同じ新鮮な甘みが口の中に充満する。 低温浸漬が成功するとこんなにも豊かな味わいになるのか。果実味に溢れ、全てがやさしく包んでくる。包容力のあるふくよかさに思わず身がよじれる。凄い。うまい。うおおおおおである。さらに感動が襲ってくる。極上のうまみ成分がグイグイと押し寄せてくるのだ。飲み込むたびに突き上げられるような衝撃が体全体を押し上げてくる。ホップするような勢いのあるアフターテイスト。ただうまみ成分に包まれるのではない。何でこんなにも押し上げられるのだ。こんな凄いワインを今まで経験したことはない。大感動である。ついに見えざる神の手を見た。見えた。これぞピノ・ノワールの最高傑作。大感謝である。この感動は有志全員が共有し、皆の満面の笑みがさらに気分を高めてくる。もっと飲みたい。ううう。試飲の途中で某店に電話するがタッチの差で売り切れて仕舞った。ううう。悔しいけれどまだグラスに残っている。まだこのワインを楽しむぞ。デカンタして30分。飲み始めて1時間。その味わいは全くへたることがなく、注いだ直後の力強さを今なお持ちつづけている。これは奇跡か。夢か。いや現実だ。ワインだ。アンリ・ジャイエだ。
 少し冷静になるとこの村の特徴である土壌香もかすかに感じられる。果実味のなかのひっそりとした土壌香。この絶妙なバランスもすばらしい。ただ甘いだけではない。しっかりと地に足をつけた味わいは、なんとも官能的である。
 段々くどくなってきた。そろそろ筆を置こう。アンリ・ジャイエは兄ジョルジュの畑からこの極上のニュイ・サン・ジョルジュを造り出した。エチケットに自分の名を出すだけのことはある。指導に留まるメオ・カミュゼやエマニュエル・ルジェのワインとも明らかに一線を画している。その差については別の機会に追求してみよう。


Domaine Gaston Huet
 この貴腐は世界四大貴腐ワインとして評価される日も近いだろう。シュナン・ブラン種から造られ、このユエは有機栽培の第一人者としても有名である。酸味のある甘口は単に甘いだけのワインにはない上品さと飲みやすさがある。最高のデザートでもある。このワインがサービスされれば、食事の終りが近づいたことを知らせてくれるし、なによりこのシャープな甘さは至福である。


<まとめ>
 前回のACブルゴーニュ大会と同様、大成功だった。大感謝である。さあ、第三弾も大いに盛り上げるぞ。

以上


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