＜ブルゴーニュ＞
　冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。薄めの淡い金色。クリーミーな香り立ちに、バター香、燻し香、ナッツ、白い花のニュアンスが穏やかに重なっている。口に含めば、優しい味わいで、力の抜け具合が熟成を感じさせ、穏やかにその使命を終わらせようとしている趣がいい。何もでしゃばるところがなく、なにも角ばったところもなく、果実味も後退気味であるが、うまみはのっていて、長めの余韻がコシュデュリ節を彷彿とさせる。時間と共に、香り立ちにボリューム感が出てきて、カラメル香やらのふっくらとした甘い香りに包まれるが、味わい自体は時間を経るごとに下降する様も、いい感じである。

　1,2年前に飲むことが出来たとしたら、もっとボリューム感が楽しめたであろうが、こうして薄れ行く味わいもまたワインの「生涯」を感じ、哀愁も漂うというものだ。華の1997年が、ブルゴーニュのクラスにおいて、ゆっくりとその役目を終えようとしている。時の流れは切ないなあ・・・、である。


以上