アルマン・ルソー | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年02月07日 | |||||||||||||||||||||||
<特級シャンベルタン> 抜栓後すぐロブマイヤー・No.3グラスへ。ガーネット含みの美しいルビー色はピノ・ノワール特有の薄い色合い。香り立ちは妖艶系で、大地から発せられるメッセージのごとく、穏やかに、かつ存在感を持って香っている。ふっくらとしたグラスの中には、フランボワーズや野いちごをベースにカシスやプラムなども美しく混ざり合い、土のニュアンスに、干したイチヂク、なめし皮などが複雑に、かつ気品を伴って香ってくるからには、全身も興奮を抑えきれず、身悶えしかねない様相だ。これぞ極上の香り、なのである。また、1993年の香に共通しかねないジビエ系の動物香はなりを潜め、繊細で程よいなめし皮のニュアンスだけが鼻腔を刺激してくれるからゾクゾク感は高まるばかりだ。口に含めば、この滑らかな味わいは、シルキーのごとく。重みのある格式高いエチケットから思うに、男性的な筋肉質かと思いきや、エレガントで極めて上品な味わいは、ボリューム感に溢れ、女性的なエキゾチックさをも醸しだして来る。心地よい酸味と滑らかなタンニンと大きなボディ感のバランスは優しさに触れつつ完璧な装いで、押し戻ってくるバックテーストは途方もなく長い。さすがシャンベルタン、これぞシャンベルタンの評を心に刻みつつ、至福の時は、しばらく留まってくれている。 そして気がつけば、我がふたつの瞳がいつもより多めに潤っているのは、ピノ・ノワールの究極に触れたためだろうか。それとも・・・。いずれにしてもブルゴーニュを代表するアルマン・ルソーの銘醸シャンベルタンの1993年は2004年現在果実味と熟成感の中間点に位置しつつも、この上ない至福が約束されていた。ただし同時に試したINAOグラスでは、グラマラスなボリューム感は今ひとつ表現されておらず、グラスの選択に少しばかり頭を使うところが、難点と言えなくもなかったりする。 至福のひと時に感謝である。 以上 |