シャソルネイ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年02月16日 | |||||||||||||||||||||||
<サン・ロマン スー・ロッシュ> 抜栓後すぐリーデル・ブルゴーニュグラスへ。やや濁り目の薄めのルビー色。香りには勢いがあり、ビオ系ワインにありがちな還元臭(う○こ臭さ)はなく、綺麗なイチゴフレーバーが心地よい。しかもそのイチゴは場末のショートケーキにのっているような人工的なイチゴではなく、路地栽培で自然のままにつくった完熟イチゴを連想させ、いたずらに甘くないニュアンスが好印象である。イチゴにかぶってハーブの香り立ちも鮮やかで、バラやスミレも彷彿とさせたりする。時間と共にバニラ系のミルキーさも出てきて、キノコ系の熟成香も現れてくるから不思議だ。さらに時間を置けば、なめし皮も現われ、干したイチヂクと和食に通じる梅鰹系のまろやかな香り立ち。そしてついにはなんと、木目を焦がした香すら現れ、目にはうっすらと涙も浮かべるほどの切なさをも感じさせる驚異的な変化に感動は爆走するのである。 口に含めば、肩肘を張らない滑らかな味わいで、ほっと力が抜けていく細胞の緩み具合も心地よい。ビオ系の典型的な癒しモードで、濃縮感のあるコクのような重みは感じないが、するりと抜けていく優しい果実味は、ちょっと癖になる味わいである。余韻は非常に長く、サン・ロマンという目立たないワイン産地を俄然引き寄せるパワーに感激である。 いやいや、凄い。ちょっと試飲のつもりが徹底的にこのワインと向き合ってしまい、和に通じるうまみ成分を堪能。つくづく日本人に生まれた喜びに浸りつつ、この切なく甘酸っぱい味わいに、涙腺も完全に緩むというものだ。2002年は真に偉大な年のようだ。今飲んでよし、しばらく置いてよしの、極上のピノ・ノワールに感謝なのである。 幸運にも来週某所で本人にお会いする予定なので、この感動をそのまま伝えたいと思ったりする夜である。これは2002年のなせる業なのか、ビオの定着した土壌のポテンシャルゆえなのか、結論はそう簡単には出ないけれど、まじめに付き合いたいワインには違いない。大感謝である。 追記 ある意味、パカレよりも分かりやすい味わいですね。 以上 |