フィリップ・ルクレール | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年2月11・12日 | |||||||||||||||||||||||
<味の印象> 黒系のルビー色で茶色も持ち合わせている。濃い色合いである。抜栓直後は木の香がたち、 味わいもアルコールの強さが他の味わいを圧倒し、 飲み込むたびに胸(特に食道)を熱くするような印象を受けた。 諸般の都合により3時間後にデカンタして30分ほど待ってからテイスティング。おおお。荒っぽさは否めないが、甘い香に粉っぽいコーヒーが混ざり合いとてもいい感じに変化している。ピノ・ノワールといえば繊細さが特徴であるが、このルクレールのワインには繊細さは感じない。しかし荒削りな飲み応えを堪能できる。新樽100%使用もその味に影響を及ぼしているのだろう。長熟タイプを予感させ、濃くって強いジュブレ・シャンベルタンである。パワフルでワイルドである。味と香が一致するワインは珍しくないが、写真のようにビンの形と味わいが一致するワインはなかなか見つけられない。なで肩が多いブルゴーニュ型ボトルにあって、フィリップ・ルクレールの存在感のある形は、遠目にも見つけやすく、なかなか楽しいワインのひとつである。また本人の風貌もロバートパーカーにして地獄の天使と呼ばしめる暴走族まがいクレージーさがあるという。そんな前情報を意識しながら飲むと、まだ見ぬフリップの姿が目に浮かんでくるというものだ。 <フィリップ・ルクレール> 1979年からドメーヌ元詰ワインを生産する比較的新興のドメーヌである。弟のルネ・ルクレールやクリスチャン・セラファンとともにジュブレ・シャンベルタンでは最も遅く摘収穫することで知られている。新樽100%を特徴とし、清澄もろ過処理もしない。特級畑は持っていないが、ジュブレとシャンボール・ミュジニにいい畑を持っている。エチケットは二種類あるようで、今回のワインは茶色ベースのイギリス向け(世界の銘酒事典に紹介されている)とは違うバージョンである。 ついでながら個人的なことをひとつ。フリップ・ルクレールのワインはコーヒー風味を持ち合わせているので、ジャイエ・ジルと相通ずるものがある。私は両者をこよなく愛する人を数名知っている。彼らは本当にブルゴーニュを愛し、ワイン愛好の良き友でもある。今回のワインもそんな友と一緒に試飲できて、楽しいひとときを共有できた。彼の喜びは、また自分の悦びでもある。感謝である。 以上 |