エマニュエル・ルジェ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年03月14日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴォーヌ・ロマネ1級クロパラントー> 抜栓後すぐINAOグラスへ。深みのある美しいルビー色。溢れんばかりの果実味が豊かでカシス、ラズベリー、フランボワーズ、スミレなどが複雑に絡み合っている。抜栓直後は味わいには硬さが見られ、ややバランスを欠いた感もあったが、抜栓から2時間待って注いだグラスからはそんな硬さは程よく解かれ、滑らかなタンニンに下支えされた絶妙な構造に舌を巻くばかりとなる。息を飲む酒質にうれしく戸惑いつつ、酸味やボディ感のバランスがよく、甘みすら感じるうまみ成分は、肩の力が抜けて何とも心地よい。時間と共に香りには、アジア系のスパイスのニュアンスが妖艶に現われだし、気持ちなめし皮チックなニュアンスやらムスク系の腰で感じる官能的な香りが現れてくるからうれしくなる。これぞヴォーヌ・ロマネのアペラシオンを表現する複雑でエキゾチックな、見事な香りである。 水のごとく滑らかな味わいは、球体を意識させ、するりと喉元を通過していまい、もっと留めておきたかった切なさを感じつつ、押し戻ってくるうまみ成分にほっと頬も赤くなる。余韻はすばらしく長く、神秘的な味わいに脱帽状態となったりする。甘酸っぱい切なさをいとおしく感じつつ、飲んだ分だけなくなってしまう現実に戸惑う夕べだったりもする。 今回は水平テイスティングの酉をとる形で、堪能したが、エマニュエル・ルジェの途方もない魅力に接することが出来、感無量である。某誌によれば、2000年のクロパラントーの評価は芳しくないが、今宵のワインはその評価者を明らかに否定しなければならないほど魅力溢れるワインだった。 ルジェ本人いわく、2000年の飲み頃は今から5年以内(2003年現在)という。もういつ飲んでもたまらない魅力をそれぞれの熟成カーブの中で見せてくれるだろうから、持っている人がいるならば、いつでも呼んでもらいたい、そんな感じである。この切なさをもう一度・・・である。そして今宵の出会いに感謝。 以上 |