ドメーヌ・ド・ラ・コンブ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年03月17日 | |||||||||||||||||||||||
<はじめに> ドメーヌ・ド・シャソルネイの当主フレデリック・コサールがコンサルタントを務め、2002年がファースト・ビンテージであるドメーヌ・ド・ラ・コンブの水平テイスティングに参加することができた。まずは某氏に感謝すると共に、感想などを一つふたつ・・・。 ドメーヌ・ド・ラ・コンブは、自然派で最も注目を浴びる男の一人 フレデリック・コサールによってコンサルタントを受け、シャサルネイと同じ哲学によって造られている。今宵は生産されるワインのうちボーヌの赤とパストゥーグランを除いた白2種類、赤4種類の合計6種類を各種ブルゴーニュグラスを用いてテイスティングされた。前々日に到着したワインを空調の完備した室温のまま抜栓直後に注ぎ、いろいろ試しながら最終的に4時間以上もかけてゆったりと行われた。 まとめ 今回は個別の味わいは省略するとして、全体的な印象としては、ビオ系の本流に位置すると思われる。ビオ系ワインのあの独特な香り立ちとともに、ワンテンポ遅れてやってくるうまみ成分は、シャソルネイと同様の癒し系の味わいで、同じ自然派のフィリップ・パカレのニュアンスにも近く、パカレよりも、より分かりやすく濃縮した印象を持つ。また本家シャソルネイがアペラシオン的に地味目(サン・ロマンとオーセイ・デュレス)であるのに対し、ラ・コンブは特級コルトンからポマール、ボーヌへと続くコート・ド・ボーヌの中枢を担うアペラシオンを有し、畑の核の違いを痛感させると共に、基本路線がシャソルネイなので、何とも居心地がよいワインである。そして四時間やそこらでは全くへたることなどなく、グイグイ変貌し濃縮されていく味わいに、俄然目も冴えてくるから不思議である。 抜栓直後はポマールを除いて愛想はそれほどよくないが、時間の経過と共に穏やかにゆっくりと開花し、たっぷりのうまみ成分と、次のワインを口にするまで続く余韻の長さに思わず頬も緩みっぱなしとなる。一本のワインはたっぷりと時間をかけ、和のお出汁に通じる味わいの変化を楽しみながら、癒し系ワインの醍醐味をたっぷりと堪能できるからありがたい。ちなみにポマールの最初の香り立ちは、鳥肌が立つほどエキゾチックであり、心が奪われまくる・・・。 赤ワインよりも白ワインの方がインパクトも強く、トロピカル系の分かりやすさを持っているので、ビオ系ワインがはじめて人には、まずは白ワインをお勧めしたい。カリフォルニア的なニュアンスも多々感じられ、それでいてコート・ド・ボーヌの大銘醸アペラシオンの個性をも感じるので、飲むほどに興味は深まるばかりだ。2種類の白ワインは、畑の格を感じさせると共に、それぞれに特徴的で大変おいしいワインである。 赤ワインは、癒し系ワインの代表格の味わいで、シャソルネイに格上アペラシオンを造らせると、こうなるのかと思うと、断然うれしくなってくる。従来のボーヌやポマール、コルトンとは明らかに違う味わいで、よくこの味わいでAOCが認められたもんだと思いつつも、根底にはしっかりと大地の個性も発見できるから、なるほどとも思ったりする。コルトンがなぜ特級なのかも水平テイスティングによって裏づけされた感もある。品が違うのである。コルトン恐るべしである。 またコート・ド・ボーヌも時間と共に所謂へえボタンが爆裂する。ACボーヌに入れない地区名的な特殊なアペラシオンながら、その味わい深さは比較的コストパフォーマンスがいいだけに、より印象的かもしれない。大きなグラスでたっぷり時間をかけて、大いに楽しみたいワインである。 いずれにしても2002年に生まれたばかりのドメーヌ・ド・ラ・コンブがこんなにも旨くていいのだろうか。フレデリック・コサールおそるべし、である。そしてこの味わいは、パカレが苦手でビオ系ワインに今一歩ためらいがちな人に、是非飲んでもらいたいワインかもしれない。このワインに嵌ったら、「もう戻れないあっちの世界に行ってしまうよ」という某氏の囁きに信憑性が増すから不思議である。 いずれにしてもこのドメーヌのワインは今後も大いに追い続けていきたいと思いつつ、数本単位で確保しよっと、である。 以上 |