シャトー・デュクリュ・ボーカイユ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年03月27日 | |||||||||||||||||||||||
<シャトー・デュクリュ・ボーカイユ> 今宵はボルドースペシャル企画として、デュクリュ・ボーカイユの垂直テイスティングに参加させていただいた。この場を借りて感謝と共に、感想などを少し。ワインは池子弾薬庫跡地に近い某カーブにて熟成した逸品で、室温にてデカンタ後すぐISOグラスにて大いに楽しませていただいた。 <1983> 明るいガーネット色。抜栓直後から熟したベリー系の果実味がふわっと室内を充満し、おおおと溜息交じりの喚声が上がる。ブルーベリーのジャムに加え、湿った土壌香に、ウォッシュチーズのニュアンスが重なってきて好印象だ。口に含めば、鉄や血を意識しつつ、香りとのギャップを感じ入る。乾いたタンニンに渋みを感じ、酸味とのバランスが軽いタッチでまとめられている。スーと滑らかに喉を通過し、やはりコンパクトさは否めないようで、余韻も決して長いとは言えない。もうすでに飲み頃のピークは超えていて、もう一本持っているなら早くに飲んだほうが良いような感じではある。しかし、この爆発する香り立ちは結構喜びをもたらしてくれるので、あながち悪くもなかったりする。また和風ロールキャベツの肉汁との相性もなかなかなので、食中酒としておおいに食卓を彩ってくれるところもいい感じである。 <1989> 色の濃さが印象的でガーネットに差し掛かったようなボルドーレッド。干し葡萄のニュアンスから始まってカシス、ボワゼ、西洋杉、ミルク、ウォッシュチーズと続く香り立ちにボルドーらしさを思ったりする。口に含めば、力強さが印象的で、角ばりながら丸みを感じるタンニンと、上品な酸味、しっかりとしたボディ感とのバランスもよい。まだまだ伸びゆく可能性を秘めつつ、強い酒質に身を任せれば、長めの余韻とあいまって、かなりの幸せ間がうれしいかもしれない。そしてローストした合鴨に醤油を少しつけてこのワインと共に味わうと、かなり幸せだったりする。(醤油がポイント) <1986> おおお。黒系果実が上品にかつ複雑に香ってくる。ガーネットまではいかない深いルビー色。西洋杉、ミルク、ウォッシュの香り立ちに共通項を感じ、力強さの中に丸みを帯びさせるところがうれしい限りだ。ボディ感が深みを帯びて、かつ厚く、実力の差を感じさせる。渋くなく、しかししっかりとした酒質を支えるタンニンと心地よい酸とのバランスも長けていて、まだまだ若さも健在だ。ISOではそのポテンシャルを開花させることは出来ないと思い、リーデルのボルドーグラスにも注いでみる。むむむ。柔らかさに一段と拍車がかかり、ミネラリーな味わいが引き立ってくる。うまみもたんと乗ってきて、さすがスーパーセカンドの名に相応しい実力を見せつけてくれる。余韻もすこぶる長く、ボルドーのおいしさを知るところである。 <1982> ガーネット含みのボルドーレッド。このワインは限りなく球体に近い味わいで、ぐぐぐっと体を引き寄せるパワーを持っている。丸く、そして極めてエレガントなふくよかなボディ感と厚みのある酸が球体のごとくのバランスで成立していて、凝縮しているのにさらりとした飲み心地には、飲み手の言葉を失わせるパワーを持ち合わせているようだ。しかしボルドーの1982は恐るべし、だある。カツオ出汁にも通じるうまみ成分にしばらくは身を任せ、いつまでも続く余韻をたんと味わうならば、至福の時が訪れてくれるから気持ちもいい。ボルドーグラスでも試してみたが、ISOグラスとの差はそれほど顕著ではなく、このワインの高度な酒質を鑑みれば、グラスを選ぶようなワインではないのかもしれないと思ったりする。何に注いでもうまそうだ・・・。 <まとめ> おいしいボルドーとの出会いに感謝。 以上 |