コラン・ドレジェ
試飲日 2001年2月11日など
場 所    神奈川県内某所   
照 明 蛍光灯
種 類 フランス AOCワイン
生産者 Domaine Michel Colin-DELEGER
(Chassagne-Montrachet)
Vintage Non vintage
テーマ ブルゴーニュの発泡酒
ワイン Cremant de Bourgogne
 

<味の印象>
 薄めの金色。細かい泡が幾筋も昇っては消え、昇っては消える。口に含めばきりりと辛口。それでいてほのかに甘い果実味が豊かでさわやか。はじけるガス圧はいつ飲んでもうまい。この白い果肉系の果実味もいつ飲んでもうまい。キンキンに冷やせばより一層味わいが引き締まり、あえて泡を飛ばしても極上の白ワインとしても楽しめる。この発泡酒を食前にアペリティフとして楽しめば、これからのおいしい食卓が目に浮かび、食中酒として楽しめばきめ細かな泡がその食卓を多いにも盛り上げる。食後酒としてもすっきりと食事を締めくくることができる。辛口発泡酒の為せる技である。いわゆる万能型ワインの代表格だ。この発泡酒はワインとしても味わい深く、それでいて料理との組み合わせとしてもさわやか。いつ飲んでも安心できるおいしさがある。基本的なスタイルは保存状態のよいシャンパンと同一である。


<クレマン>
 クレマンとはシャンパーニュ地方以外のフランス各地で造られるスパークリングワイン(発泡酒)のことである。AOC法で定められた場所でシャンパーニュ方式(瓶内二次発酵)により一定のガス圧を確保して造られたワインである。ブルゴーニュやボルドー、ロワール、アルザス、ジュラなどで造られている。そこは、いわゆるスティルワインの銘醸地である。
 シャンパーニュ(お茶の間流に言えばシャンパン)はシャンパーニュ地方でシャンパーニュ方式によって造られたスパークリングワインで、この総称はシャンパーニュ以外では法律により使用できない。
 またフランスでは発泡酒の総称としてヴァン・ムスー(Vin Mousseux)があるが、それはシャンパーニュ方式以外の製造方法によって造られるか、シャンパーニュまたはクレマンを名乗れない場所で造られた発泡酒のことである。発泡酒はタンクで大量に造ったり、炭酸飲料のように炭酸を加えればできたりする。ヴァン・ムスーは非常にお手軽に造ることもできる。大量生産が可能であり、だから安く、だから気軽に飲める。

 しかし、シャンパーニュとクレマンは違う。瓶内二次発酵という非常に手間隙がかかる方式に則って造られる。その成果として非常においしい発泡酒ができる。シャンパーニュは世界の発泡酒の頂点に君臨し、その知名度の高さと安定した品質のため結構いい値で取引される。しかしクレマンは普通のワインの銘醸地で造られているので、その陰に隠れがち。まだ知名度も低く比較的安価で手に入る。もちろん素性の知れない発泡酒よりは高いが、その品質に見合うだけのことはある。グラスに注がれた泡の筋を見つめれば、気合の入った造り方か、大量生産品か、その泡が証明してくれる。


<クレマン・ド・ブルゴーニュ>
 クレマン・ド・ブルゴーニュはクレマンの中で最良とされる。その根拠は葡萄品種にある。発泡酒の世界ではシャンパーニュの独壇場であり、それを凌ぐワインはない。確固たる地位と名声を得ていて、これに立ち向かう術はない。そのシャンパーニュと製法を同じくしてシャンパーニュと同じ葡萄を使って造られるのが、クレマン・ド・ブルゴーニュである。シャンパーニュの主品種はシャルドネとピノ・ノワール。ブルゴーニュも白はシャルドネ、赤はピノ・ノワール。これがボルドーやほかの地域で造られるクレマンとは一線を画す理由である。ボルドーも銘醸地であるが、それは甘口白ワインと辛口赤ワインとしてである。確かに辛口白ワインもオー・ブリオンなどの銘醸はあるが、ブルゴーニュのシャルドネと対抗するレベルにはない。そもそも葡萄品種も違う(ソーヴィニョン・ブラン主体)。シャンパーニュは辛口こそ評価されうるために甘口のソーテルヌ風の発泡酒もいかがなものか。そんなのあるのかな。ロワールもジュラも個性的かつ評価の高いワイン産地であるが、世界のブルゴーニュと比べると一歩も二歩も譲らざるを得ない。

 つまり素性のいい場所で、素性のいい葡萄品種を用いて、伝統的な手間隙かかる手法によって造られたのがクレマン・ド・ブルゴーニュであり、シャンパーニュにも対抗し得る発泡酒である。コストパフォーマンスの観点からもお奨めの逸品である。


<ミッシェル・コラン・ドレジェ>
 シャサーニュ・モンラッシェに拠点を置くドメーヌである。特級シュバリエ・モンラシェやバタール・モンラシェをはじめシャサーニュ・ピュリニーで極上の辛口白ワインを造っている。その名はコート・ド・ボーヌを代表し、日本でも新宿西口某所に高値で販売されている。今回のクレマンはシャサーニュ・モンラシェの区画外の畑から造られたようで、場所の素性は天下一品である。おそらくAOC法上の量的制限やなにやかでクレマンとしてリリースしたのだろう。白の名手が造る素性のいい発泡ワイン。うまいわけである。とにかくこの味わいには感謝である。


<おまけ>
 このクレマンは屋外でも威力を発揮する。新年のカウントダウンのお祝いにコルクをぽんと吹き飛ばしたり、スキー場で雪の中に埋めて仲間同士で飲んだり、ううう。いろんな飲み方が楽しめて、いろいろ小技を利かせてくれて、本当に楽しい一本である。

以上


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