デュジャーク | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年04月10日 | |||||||||||||||||||||||
<特級クロ・サン・ドニ> 抜栓後すぐデカンタージュして2時間経ってINAOグラスとブルゴーニュ用グラスへ。濃いルビー色で、2時間のデカンタでは漲るパワーを落ち着かせることが出来ず、ベリー系の黒系果実のパワフルな味わいが醸しだされている。口に含めばタニックさと硬い酸を持ちつつ、酒質の高さに驚くばかりだ・・・・。 違う。明らかに違う。この特級ワインはシャンボールチックな華やかさとジュブレ系の力強さを持ち合わせ、一挙両得のさすがモレサンドニの特級クロ・サン・ドニここにあり、と思うが、ドメーヌ・デュジャークのあの特徴ある味わいを知るものにとって、このワインには相当の違和感を持ったりする。まず色合いが違う。従来のデュジャーク色は薄い桜色系の淡い色合いを特徴としていたはずで、今回の濃い色合いからは、かつての面影を知ることは出来なかった。そして味わい自体も、デュジャーク節はシルキーな優しい滑らかさを持っていて甘く切ない味わいだったはずなのに、このクロ・サン・ドニはいわゆるモンダンチックな、ストレートでパワフルな果実味があり、これはこれでとてもおいしいワインの範疇に入るものの、デュジャークを意識しすぎると、微妙ではない相当な「ずれ」を感じたりするのだった。 むむむ。ワインとしては見事な味わいなので、絶賛してしかるべきと思いつつ、あのデュジャーク節が全くなくなっているかと思うと、切ない思いは違う方向へと走り出すのであった。最近の一流系自然派ワインの流れ(薄い色合いにうまみたっぷり路線)にも通じていたあのデュジャーク節は、どこへ行ってしまったのだろうか。 2月のブルゴーニュ合宿でも話題に上ったことだが、デュジャークの味わいの変化は、複数の某ドメーヌでも意識されていた。当主ジャック・セイスはまだまだ健在で、いまでも第一線に立つその姿にはオーラが宿っているが、二人の息子との共同経営やネゴシアン業の立ち上げ等々、変わりゆくデュジャークの行く末を案じつつ、気持ち年取ったなあと思わせるところが淋しくもある。いったいドメーヌ・デュジャークはどこへ行くのか。かつてあれほど私の心を揺さぶったデュジャークのワイン。しばらくは少し遠くから見つめていたいと思ったりするこの頃だ。またこのワインを含め2001年ビンテージは樽から複数回試飲しているが、瓶からのニュアンスとだいぶ違うので、ちょっと検証してみたいと思ったりする・・・。 以上 |