ワインパーティ
試飲日 2001年2月18日
場 所    神奈川県内某所           
照 明 自然光+白熱灯
種 類 フランス AC特集
生産者 ブルゴーニュを代表する造り手
Vintage いろいろ
テーマ コルトンの丘を目指して
ワイン コート・ド・ボーヌ地区など
 

<はじめに>
 今回のレポートは特別企画です。某フランス語学校に通う6名の有志にブルゴーニュワインのすばらしさを紹介しつつ、加えてフランス語の勉強に一役買ってもらいつつ、要は大いに飲もうという企画。行きつけのワイン専門店からとっておきのワインをゲットして楽しい宴が始まった。時は如月。時節柄遅い新年会とフランス語の勉強会を兼ねて、眺めのいい某所に集合した。今回は、にしかたがプロデュースしてブルゴーニュのワイン選定を担当。クレマン・ド・ブルゴーニュで乾杯し、白ハーフ、赤4本。おまけのポート・ワインが宴の終りを告げ、やはり昼から飲む酒はうまかった。


<ラインナップ>
 クレマン・ド・ブルゴーニュ  ドメーヌ・ミッシャル・コラン・ドレジェ
 シャブリ1級レ・モンマン1999  ドメーヌ・ヴォコレ
 オート・コート・ド・ボーヌ1998  ドメーヌ・ジャン・ガローデ
 アロース・コルトン1級レ・フル二エール1998  ドメーヌ・トロ・ボー
 コルトン特級1993  ドメーヌ・ルイ・ラトゥール
 ニュイ・サン・ジョルジュ1982  メゾン・ルロワ
 ポート・ワイン(オールド・トニ・ーポート)  ワレ


<ワインパーティ>
 今回のテーマはコルトンの丘へハイキング。これまでのワイン先輩方とのテイスティングではなく、ワインを紹介する立場でのテイスティング。葡萄品種はもちろんピノ・ノワール系列中心。参加者のお酒の許容量はまちまちで、どうなるものかと気がかりだったが、帰り支度をするみんなの表情には笑みがあったと信じてレポートとしてまとめてみたい。ともかく私が伝えたかったのはワインのおいしさと、場所による味わいの違いだ。コルトンというブルゴーニュを語る上で避けて通ることができない丘を遠くから眺めつつ、徐々にその丘を昇り、頂上からの風景を知ってもらいたかった。ある意味満足していただけたかとも思われるし、私の力不足も反省材料として記録したい。


<プロデュース>
 まずは発泡酒(クレマン・ド・ブルゴーニュ)で乾杯。キンキンに冷やされた温度はきりりと引き締まった味を演出し、デゴルジュマン間もない新鮮な果実味と相まってパーティの始まりを気持ちよく伝えてくれる。発泡酒の素敵な誘いをうまく伝えられただろうか。続いてヴォコレのシャブリ1級のハーフボトルを隣のグラスへ。今度は場所の違いを強調させるために室温よりやや低めでサービス。これぞ北のシャルドネ。典型的なシャブリのフリント香が今回のクレマンの産地コート・ド・ボーヌ(シャサーニュ・モンラッシェ村周辺)との場所の違いを想像させる。ガスの抜けてもなおクレマンが丸みを帯びた味わいなのに対し、シャブリは角張った味わいを感じる。おいしいシャブリに出会え、シャルドネの場所の違いと味の差の関係も知りつつ、この不思議な味わいが伝われば本望である。

 赤の最初はポマール屈指の造り手ドメーヌ・ジャン・ガローデ。ワインはオート・コート・ド・ボーヌ。コート・ド・ボーヌとは山を越えて西側に広がるACブルゴーニュの場所指定ランクであるが、造り手次第でこんなにも優雅なワインになるのだ。甘く熟れた果実を思わせるふくよかなアロマがグラスに満たされ、味わいにも共通点がある。これはおいしい。空になったINAOグラスには焦した甘い香も充満し、価格以上と言うよりも畑の格を越えた偉大なワインであった。

 つづいてコルトン・シャルルマーニュの偉大な造り手ドメーヌ・トロ・ボーのアロース・コルトン1級畑指定をサービス。コルトンの丘の麓にある畑である。ジャン・ガローデの華やかさとはうって変わってしっかりとした重みのある味わいを演出してくれている。畑の違いが同じ葡萄なのにこの差を生むのだ。華やかな世界から地味ながらしっかりした味わいへの移行。数日前に試飲したときは、もっと果実味が豊かであったので、この差は意外であると共に開け方に不備があったのだろうか。グラスの拭き方が少しゆるかったか。

 コルトンの丘の頂上にはドメーヌ・ルイ・ラトゥールのコルトン93。内側に沈み込んだ熟成した色合いが今までのワインとの差を伝えてくる。つくづく鉱物的な味わいは、トロボーの1級ワインと特級の格の差を伝えてくる。基本的な味わいはドリンキングレポートと同様なので、詳細はそちらを参照願うとして、既にこの時点で相当酔いも回っていた。

 そしてコルトンの丘からは見ることはできないが、コートドニュイ地区の熟成した極上ワインを仮想の丘から眺めるがごとくルロワのニュイ・サン・ジョルジュ1982へ。デカンタをして大粒の澱を取り除きINAOグラスへ。甘いコーヒーのブーケがすいっと現れては一瞬のうちに消えてしまった。これは反省事項だ。本来ならこの熟成香をもっと堪能させられる実力がこのワインにあったはずなのに、あっという間に消えてしまったのは至極残念であり、力量不足を露呈させる結果となった。 しかしピノ・ノワールの貴賓に満ちた味わいは伝えられただろう。早飲みタイプと言われるピノ・ノワールではあるが、偉大な造り手によるとっておきのワインは、まさに「これぞ」といった味わいを伝えてくれる。

 パーティの締めくくりはポートワイン。今回はオールド・トニー・ポート10年ものを用意。カラメルの味わいを例えるならば、カステラの端っこのじゃりじゃりした部分の甘味に通じる味わいである。この甘味を帯びた複雑にしてアルコール度の高い酒を飲むことは、宴に一区切りつくことも意味させる。ドイツの極上の甘口ワインやポート、マデラ、ソーテルヌなど食後の締めに選ぶ酒は多い。おいしいお酒で締めくくる宴の小気味よさは、その味を知るものにとって、とても大切なひとときである。


<まとめ>
 今回のワインは量が多かった。そのためにワインそのものの味わいは、酔いが覚めたのと時を同じくして遠い記憶の中に仕舞われてしまった。本来ならばもっといいコメントが残せたはずだが、ここがドリンキングレポートの泣き所。酔うとただおいしいとしか言えなくなってしまう。あはは、である。今回の企画では初めて飲む人とワインパーティをする難しさと楽しさを両方味わえた。過去の経験から味わいのストーリーは算盤はじけても、各自の酒量までは計算できなかった。ただお酒の席でお酒が底をつくことほど寂しいことはないわけで、足りないくらいなら残すほうがいい。今回のワインのようにおいしいワインの連続では、残すことも憚れる。このバランスも難しいところではある。結果として相当酔ってしまった。今回のパーティでブルゴーニュのすばらしさが伝えられたと信じて、次回はより楽しんでもらえるように日々精進したい。
 関係各位に大感謝してひとまずレポートを締めくくろう。

以上


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