ヴェルジェ
試飲日 2004年05月08日
場 所    白金某所
照 明 シャンデリア
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC白ワイン
生産者 Maison VERGET(Sologny)
Vintage 1997
テーマ 美酒
ワイン Saint-Aubin 1er cru

<サントーバン1級白>
 
抜栓時間不明でグラスはリーデルのシャルドネグラス(推定)。これは某氏のご好意により急きょサービスされた逸品で、この場を借りて感謝である。それほど濃さを感じないゴールド色で、シャンデリアの光を浴びて美しく輝いている。香りは1997年の白を代表するかのような凄まじい燻し香が熟成の妙を感じさせてくれる。上顎が思わず上がるほどの強烈なインパクト。そして燻したヘーゼルナッツの陰に隠れながらもしっかりと下支えするのが蜂蜜香とバター香であり、極上のシャルドネにみられる複雑でふくよかな香り立ちである。口に含めば、サントーバンらしいシャープな酸が印象的で、例えて言うなれば、細身の日本刀ごとくの美しさがある。ふくよかな香りから想像されるピュリニー・モンラッシェ的なずっしりとしたボディ感はなく、やや軽めの印象を持ちつつもシャープなまでの切れ味にサントーバンの特徴をはっきりと認識できるところがすばらしい。ルパン三世で言うならば、石川五右衛門の斬鉄剣に通じる切口の美が、ここにある。

 すごい。サントーバン恐るべし。

 偉大なピュリニーとシャサーニュに接しながらも、今ひとつブレークしないサントーバンではあるが、白の魔術師ヴェルジェのそれは、1997年というビンテージの個性を反映しつつ、コート・ドールの一級ワインの名に恥じない、というよりもポテンシャル自体を底上げするパワーに脱帽なのである。しかもこのワインは、1983の特級コルトンと1980特級クロドヴージョを楽しみながら急きょ追加された逸品で、両巨艦の中に挟まれながら、しっかりとその存在感をアピールしてくるところが、なおすばらしいのである。

 1997年のヴェルジェのサントーバン1級にもう一度出会えるならば、これをもって幸せと名づけてみたい。感謝である。


以上
 


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