ボノー・デュ・マルトレ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年05月08日 | |||||||||||||||||||||||
<特級コルトン> セラーから出してもらい抜栓後すぐパニエに移し、リーデル社ブルゴーニュグラスへ。深みのある熟成感を伴った極上の色合いはたいそう美しく、ガーネット色に輝いている。香りには勢いがあり、思わず「ぶぅわぁっ」と呟いてしまうほど。官能的で思わず涙が溢れ出てくる香りには、なめし皮や干しイチヂク、梅鰹、焦がし香などが複雑にかつゆったりとした充実感を伴っている。口に含めば、まだまだ果実味も健在で、赤系果実の優しさが印象的。そして滑らかなタンニンと程よい酸味に守られ、優しくもほどほどのボディ感がビロードのような喉越しとあいまって、何とも形容しがたい妖艶なワールドを構築している。余韻はながく、柳沼シェフの極上の逸品とのコラボも完璧で、滋味に癒されていく様に快感を覚えたりする。これぞブルゴーニュ魂である。 このコルトンはある意味、完璧である。熟成した完璧なコルトンを味わってしまうと、若いビンテージのコルトンを飲むという行為そのものを否定したい衝動に駆られ、今まで飲んできた多くのコルトンに謝罪したい気持ちになったりする。ピノ・ノワールは若いうちから極上の味わいを醸し出すが、ことコルトンに関しては、熟成を待つべしとの某氏の言葉も説得力を持ってくるのはやむを得ないだろう。 しかし、私は若いコルトンの味わいを知ってこその熟成コルトンと位置づけたい。若いうちは鉄のニュアンスを持ち、艶かしさをもつコルトンの魅力を知ってこそ、この極上のひと時に拍車がかかるのだと信じている・・・。 いやいや、しかしすばらしい。感無量とはこのことを言うのだろう。そして某店の俄か信じがたい価格設定に(パリのタイユバンより断然安い・・・)に、脅威すら感じるこの頃である。今宵のひと時に大感謝である。 以上 |