フィリップ・パカレ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年05月27日 | |||||||||||||||||||||||
<ジュブレ・シャンベルタン> 抜栓後すぐリーデル・ブルゴーニュグラスへ。室温推定17℃。某氏をはじめとする四人のテイスターにより、ひとつのグラスへ注ぎ足し注ぎ足しでほぼ一本分を時間をかけて飲み進め、試飲時間は約3時間だった。今回は、デカンタなり事前抜栓をせずに、抜栓直後からのパカレのワインを検証しようという企画で、このジュブレ・シャンベルタン以外にも数本のワインを試飲しつつ、穏やかな夜は暮れていったのだった。 パカレのジュブレ・シャンベルタンは、この村の男性的で力強いアペラシオンの個性とは、若干距離を置いたところで、その存在感を示している。まずはパカレのワインの多くがそうであるように薄い味わいがあり、ポマール同様の閉じ加減が飲み手を翻弄としてくるからだ。すぐさまには素直な美味しさを表現してこず、こちらの出方を探っているのか、美味な部分は僅かにチラリと見せるだけで、なんとも愛想がない味わいだ。 そして時間と共に開襟するかのように、ゆっくりとだが、しっかりとその味わいをオープンにしてくる様は、知的好奇心を刺激し、癒されるというよりは、方程式を解くかのような脳の毛細血管伸びまくり状態となるからハッピーだ。これは第二外国語を必死で覚えようとしたときに今まで眠っていた脳細胞のある部分が活性化するときと似た感覚かもしれない。(脳のその辺りはたまに使うと凄く疲れる・・・) パカレのジュブレ・シャンベルタンは、この村にしては軽いテーストを持ち、それは最上級の比喩で例えるならば、特級シャンベルタンにも通じる赤系果実的なポテンシャルを感じ、村名格にして、不思議な錯覚を覚えるところが面白い。しかし、そんな夢物語は一瞬で、やはり現実は村名ワインであったりする。 今回はポマールとの比較に重点が置かれたが、両者は比べてこそ、その違いが分かるというもので、別々に試したらその差を確認するのは困難かもしれない。そして皮肉なことに同時に飲むとポマールのポテンシャルの高さを証明する効果を持ってしまい、今ひとつ部も悪くなりがちだが、ブラインドで飲むとしたら、これをジュブレ・シャンベルタンと言い当てたり、もっといえばブルゴーニュワインと確認できるかどうかは、飲みなれている人を別にすれば、結構困難な作業かもしれないと思ったりする。 今回は「パカレ恐るべし」とまでは言い切れないが、(ポマールが凄すぎるという説がある・・・)、それにしてもインテリジェンスなワインには違いなく、飲んでいてとても楽しくなるから、ワインが好きで良かったと思うこの頃だ。 以上 |