ポール・ガローデ
試飲日 2001年2月28日
場 所    神奈川県内某所
照 明 白熱灯
種 類 フランス AOC白ワイン
生産者 Domaine Paul GARAUDET (Monthelie)
Vintage 1999
テーマ ポール・ガローデの1999
ワイン Bourgogne
Meursault V.V.
Puligny-Montrachet
 

<結論>
 今回幸運にもポール・ガローデの最新作1999年ビンテージを3本飲み比べた。前年の1998はブルゴーニュの白にとって不運なビンテージであったが、1999年は前評判通りすばらしいワインであった。このドメーヌは、ブルゴーニュにおいて辛口白ワインのトップ4(それはつまり世界のトップ4を意味している)の一角を占めるドメーヌ・デ・コント・ラフォンで醸造長を務めた男が興したドメーヌであり、その味わいは気品に満ち、とてもすばらしい時を共有できる。1999というすばらしい年のドメーヌ・ポール・ガローデという卓越した造り手の偉大な畑のワインは、とっておきの日にも、何気ない夜にも最高の演出を醸し出してくれるだろう。万人受けもするし、通ゴコロも小気味よく刺激してくれる。大感激である。ちなみにブルゴーニュは2000円台、あとの二本も10000円でかなりのお釣が戻ってくる。絶対買いのお奨めワインである。


<ACブルゴーニュ>
 透明感のある薄い金色。部屋の温度がやや高いため通常より冷やしてのテイスティング。う。うまい。このクラスとは思えない濃縮感がある。濃い。ワイン自体の温度が低いため、華やかなアロマこそないが、これはいい。口の中でゆっくり温めてから、鼻から抜くハニー香はとても心地よい。とろみもいい感じだ。白身系の果実を絞った感じ。かなり身近にムルソーの味わいを堪能できる。いや、これはムルソーだ。
 このワインはランクこそACブルゴーニュであるが、ACムルソーの区画外のシャルドネから造られている。なるほど。どおりで、である。ちなみに今回のワインはACブルゴーニュ大会でもビンテージ違いで堪能させてもらっている。感謝である。


<ムルソー 古木>
 おしろいを思わせるパウダー系の甘い香。道端できれいな女性とすれ違った時に、すっと感じる香にも共通している。いやいや。これぞ極上のムルソーである。ACブルゴーニュもうまかったが、このムルソーは格段にうまい。畑の差か。舌の上で転がせば、いつまでもトロトロしている。口全体からも舌からも唾が滲み出てくる感覚は、ちょっと幸せである。酸味も感じられるが、甘さがより全面にでている。食事にも合いそうだが、ワイン単体でじっくり楽しむのも優雅である。酸味が弱い分、熟成には向かないかもしれないが、そもそもこれだけ美味いとなると、あればあっただけ飲んでしまいたくなる。大感謝である。ちなみにこの古木は樹齢70年を数える。


<ピュリニー・モンラシェ>
 今度は一転して辛口白ワインの本筋系の味わいである。しっかりした酸味が甘味を押さえシャープな飲み応えはこの村の実力を思い知る。色合いは前の二本と共通している。薄い金色である。おそらくこの薄さはオシャレな照明の影響からだろう。飾りのない白熱灯の下でもう一度確かめてみたいものである。アロマは樽を感じる燻し香とハニー香が品よく混ざり合っている。さすがこの年の村名クラスのトップ評価ワインである。実に美味い。飲むごとにグイグイ伸びるうまみは前2本にはない印象である。ワイン単体で十分感激に値するが、ムルソーのあの甘さを知ってしまうと、このシャープさは、食事と合わせたくなる。ただこれほどのワインと合わせるには、相当な時間と技と食材と素敵な相手が必要だ。まさに勝負の夜に飲みたいワインである。おそらくこのワインを熟成させれば、ものすごいワインに変貌する。将来が楽しみなワインである。ただ今飲んでもすばらしいため、手元にあれば、これまたすぐに飲んでしまいたい衝動に駆られる毎日でもある。大感謝。

以上


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