ドゥラン
試飲日 2004年07月26日
場 所    神奈川県某所 
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方白ワイン
生産者 Catherine et Dominique DERAIN (St-Aubin)
Vintage 2001
テーマ ビオディナミ
ワイン SAINT-AUBIN 1er cru en Remilly

<サン・トーバン 1級 アン・レミリー>
 
前日に某セミナーで抜栓し、他のワインの本数が多かったために飲みきれず、1/3位あまったものをもらってきて(感謝)、自宅にて翌日再試飲。コルクをし、冷蔵庫にて保管しクーラーの効いた部屋でINAOグラスへ注ぐ。濃い黄色を意識するゴールド色。香りは閉じていて、ハーブのニュアンスに蜂蜜が加わったよう。口に含めば、磯の香りを意識するほどのミネラル感で、濃縮したエキスを感じながら、心地よい酸味が鋭いながらも、角が取れた感があり、なかなかうまみも乗っている。余韻はそれほど長くはないが抜栓から24時間ほど経っているにもかかわらず、酸化の気配は全くなく(意図的に少し残して翌日も試飲したが問題なかった)、かなり上質なポテンシャルが嬉しかったりする。

 正直、うまいと思う。

 ドゥランはビオディナミの先駆者的な造り手(エコセールによる認証は1988年)で、ビオ系の本のブルゴーニュ部門では真っ先に紹介されている造り手で、日本ではまだ無名ながらも、自然派系に力をおいているパリのワインショップでは定番の位置に収まっている。私もパリ某所ではかなりの本数を飲み干しつつも、いつも決まって、味わい自体の「薄さ」が気になり、日本では敬遠しがちの造り手だった。
 
 ひょんなことから日本で再会したが、いやいやどうして、なかなかに美味しいではないか。独特な「磯」の風味も和食に合いそうである。ただ特級シュバリエ・モンラッシェに一部の区画は接するとはいいつつも、日本におけるサン・トーバンの知名度の低さを考えると、コストパフォーマンス的には厳しさも募ったりする。今宵のように、とても美味しく飲めるとかなり幸せなのだが、価格を考えると酒屋さんの苦労も偲ばれ、なかなかに難しいワインのひとつかもしれない。

 「ビオはマーケティングだ」と批判するパリの某ワインショップのオーナーの声が耳元にも蘇り、日常的に飲むにはちっょと高すぎる価格設定(5000円超で他のサントーバンの倍)と、ハレの日に飲むには少しばかりマイナーなアペラシオンが災いして、落しどころが難しい。同じ価格で有名なムルソーが飲めるとなると、なかなかどうして、自然派ワインにテーマを絞った時でないと、そうそう出番もなさそうで、それでもきっちりとしたうまみを出してくるから何とか紹介したいとは思いつつ、知名度の低さを意識すると、おいしいが人が呼べないワインかもしれない。

 「味」的に成功したビオワインの価格的な壁と対峙するこの頃である。


以上

 


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