シャトー・メルシャン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年08月07日 | |||||||||||||||||||||||
<甲州> 抜栓後すぐINAOグラスへ。やや薄めながら深みのある黄金色。香りにはパワーがあり、蜂蜜香のニュアンスと、いかにも熟成しているという香りが印象的。口に含めば、とろみ感のある甘口で、上品な味わい。しつこくない甘さの中に酸があり、うまみも乗っている。まだまだ健在ぶりを発揮し、あと数年は楽しめそうだが、すでに入手も困難なので最後のテイスティングになりそうな予感も儚げで、そこがまた哀愁を誘ってくるから、いとおかしである。澱は全くなく、フィルターはかけられているものと推測できつつ、時空を超えた喜びにしばらくは浸っていたい心もちである。 ひさしぶりに甲州の古酒を堪能したが、今でも実に美味しく、とてもハッピーになれるからありがたい。そしてもう一本あるならば、このワインはぜひとも山梨の若手醸造家チームに飲んでもらいたい味わいだ。このワインを造った人たちは、役員クラスになっているので、自分たちと同じ時分に上司の作ったワインを飲むというのも決して悪くないと思われ、甲州の可能性の役に立つと思われるからだ。先日の彼らとのワインセミナーでは、甲州に関しては賛否両論あり、日本の固有種として大いに盛り上げてもらいたいと思いつつ、難問が山積みで、一筋縄では行かないワイン造りに大いに関心が及びつつ、私は甲州の可能性に大いなる期待を寄せさせてもらっている。なによりもこの1971年のこのワインが、その可能性に肯定的な光を注いでいるのだ。 1970年代の甲州の美味しさに感激である。 以上 |