ヴァンサン・ダンセール | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年09月04日 | |||||||||||||||||||||||
<ムルソー レ・グラン・シャロン=畑名> 少し冷やして抜栓後すぐ仕様不明の素敵なグラスへ。輝きのあるうすいゴールド色。香りはトロピカル・フルーツを思わせる華やかな香り立ちで、白い花、ナッツ、ハチミツなどが色とりどりにグラスを賑わしてくる。口に含めば、ムルソーから想像する重量感とは無縁の、ある意味軽さを伴ったテーストで、酸味はそれほど強くない。トロピカリーの名の下に統一感も出ていて、ムルソーというよりはシャサーニュ・モンラッシェ的なニュアンスもあり、なかなかに興味深かったりもする。ただ油断すると、華やかさだけのナンパな味わいに思えなくもないが、時間と共にとろみ感も表れてくるので、じっくりと、それでもさりげなく接してみたくなる。たとえばデカンタをするとどうなるか、飲み方の妙も探ってみたいかもしれない。余韻は、それほど長くはなく、穏やかなトロピカル感だけが心に刻まれそうな気配だが、華やかに、そしてお洒落に決めたい夜には、いい感じだろう。 このワインは美しく、美味しい白ワインだ。それゆえにヘビーなムルソーの個性を楽しみたいと思うなら、選ばない方が賢明で、しかし一方で若手のホープの味わいに知的好奇心を寄せるなら、まずは一本手に取りたい逸品だろう。そしてダンセールは若手のホープの位置づけゆえに、白ワインのトップ・グループの生産者(たとえばドーヴネやコシュ・デュリなど)と一緒に飲まれやすく、彼らの高い壁と比較される不遇を贔屓目に見てやる必要もあったりするので、そこら辺も鑑みつつ、今後も大いに注目していきたいと思ったりする。 以上 |