コント・ジョルジュ・ド・ヴォグエ
試飲日 2004年11月25日
場 所    神奈川県内某所   
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOCワイン
生産者 Comte Georges de Vogüé (Chambolle-Musigny)
Vintage 2002
テーマ 水平テイスティング
ワイン Chambolle-Musigny
Chambolle-Musigny Premier Cru
BONNES-MARES Grand cru
MUSIGNY V.V. Grand cru
 
<はじめに>
 今回のテイスティングは特別企画。2002年のボグエの水平テイスティングは、豪華絢爛の名に相応しく、2002年のワインを今いかに美味しく楽しむかに主眼を置きつつ、同時に4本のワインを抜栓するものの、すべてが硬く閉じた状態で、どうしたもんかと思案に暮れ、それでもどうにか持てる道具を総動員して、ようやくにして楽しむことが出来たと自負したりしている。


<シャンボール・ミュジニ>
 抜栓後すぐINAOグラスへ。赤系果実の味わいは、タニックさと酸味とのバランスもよくなく、輪郭だけは凄いと実感させるものの、中身がない状態で、滑らかさを伴いつつも、アルコール感だけが際立つ味わいだった。そこでデカンタしたり、メオ・カミュゼ直伝の準備方法などいろいろ試行錯誤(詳細省略)した後、リーデル・ヴィノム・ブルゴーニュを用意して、ゆっくりと注ぐ。すると甘草を伴った赤い果実の優しく味わいが、サプライズをもって迎えられた。ミネラル感もたっぷりとあり、余韻も長め。さすがは、このワインの多くを実は一級畑が占めていることを物語るかのように、滑らかな味わいは心を揺さぶってくるに十分な酒質である。女性的で、エレガントなシャンボールらしい、銘醸ワインである。
 ボトルナンバー No.01481


<シャンボール・ミュジニ1級>
 同じく、抜栓直後は愛想がないので、いろいろ試行錯誤(省略)して、ゆったりと注ぐ。このワインを特筆すべきは、ミネラルを伴ったしっかりとした構造もさることながら、後半にようやく現われた蜂蜜のような滑らかにして気品ある味わいを優雅に表現してきたことにあるだろう。白ワインなのに、ハチミツのニュアンスがとろみ感をもって鼻腔をくすぐる時、エキゾチックな風も吹くというものだ。すばらしい。さすが、特級ミュジニに植わるピノ・ノワールだ。(これは若木ゆえに一級に格下げされたワイン)。もう一本欲しいかも。
 ボトルナンバー No.01365


<特級ボンヌ・マール>
 同じく、抜栓直後は愛想が全くないので、いろいろ試行錯誤(省略)して、ゆったりと注ぐ。赤系よりも黒系果実のニュアンスが多く出ており、男性的で力強いワインのボンヌ・マールの特徴が、明確に表現されてくる。時間と共に滑らかなグリップ感に豊かさが加わり続け、なぜだかハーブのニュアンスが細胞の一つ一つをくすぐりだすから、ちょっとこれは凄いと唸らずには、いられなくなる。ミネラルたっぷりの味わいは、とてもエキゾチックで、鳥肌も立ちつつ、余韻の長さに身を任せるのも悪くないだろう。名作ボンヌ・マールである。
 ボトルナンバー No.0616


<特級ミュジニ VV>
 同じく、抜栓直後は愛想が全くないので、いろいろ試行錯誤(省略)して、ゆったりと注ぐ。これは、薄い味わいにもかかわらず、強烈なインパクトを持った偉大なワインである。時間と共に、クリーミーでミルキーな香り立ちがあわられ、あたかもそれは極上のモンラッシェを飲んでいるかのような錯覚に襲われ、目を閉じるなら、ミュジニなのか、モンラッシェなのか、その判断も難しそうな気配が、魂に揺さぶりをかけてくる。まさに究極の「絹」のような味わいに到達し、鳥肌が全身を覆いつくし、官能の世界にようこそ状態となる。余韻もすばらしく長く、ボグエの高価格もやむなしと思わざるを得なくなる。ルロワとはまた違った趣でミュジニのテロワールを表現してくるボグエの真骨頂全開にして、このミュジニVVは、今世紀を代表しうる偉大なワインの一つに挙げられることだろう。そして、もしも2002年に生まれた娘がいるならば、彼女の成人式のお祝いに、ぜひおすすめしたい逸品かもしれない。
 ボトルナンバー No.1190


<まとめ>
 今回は、ボグエの2002年を今飲むことに対する難しさと楽しさを共有させていただき感謝である。ボグエに対しては、自分なりの結論もでて、ありがたい限りである。料理との相性もすばらしく(省略)、財政的にも、本数的にも再現不可能な豪華な会が無事終了したことに、ほっとしたりする。


以上


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