ドーヴィサ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年3月11日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴァイヨン> 薄い金色が輝いている。とろみが十分あり、まさにトロトロした味わい。白い果実味が豊かでこの濃縮感は驚きすら覚える。前年の1998年にはない、ふくよかさだ。口に含めば唾が溢れ出す。鼻から抜けるハニー香を楽しみながら、バニラ香を探す作業がなんとも楽しい。このリンゴのような爽やかなアロマはリンゴ酸が残っているためだろうか。マロラクティック発酵はブドウに含まれるリンゴ酸が乳酸菌の働きによって乳酸に変化する現象であり、ワインの酸味をまろやかにさせる効果がある。そのリンゴ酸が僅かに残っていたために、このほのかな爽やかさを感じさせるのだろう。いい感じである。 しかしこの味わいは不思議である。ゆっくり飲み込む毎に喉が渇くからだ。ワインという液体を飲んでいるのなぜ喉が乾くのだろう。不思議である。不思議であるが、これもまたおいしいワインなのである。今回は新着ということもあり、おいしく飲むというより純粋なテイスティングに重きが置かれた。ワインそのものの実力を判断するため、やや高めの温度でのテイスティング。そのためシャブリ的な切れ味は陰に隠れつつも、よりも骨太な印象を受けた。結論としては長期の熟成に耐え得る偉大なシャブリである。次回は少し冷やしすぎの温度から室温に任せて徐々に上げていき、いろいろな温度での味わいの差を楽しみたいものである。冷やしたらきっとシャープだろう。楽しみは尽きない。 畑は特級畑と町を挟んで対岸にある。ヴァイヨンを名乗れる畑は複数あるが、このドーヴィサのヴァイヨンはヴァイヨン畑のものである。 <ラ・フォレ> 基本的な印象はヴァイヨンと同じだった。やや苦味を感じる味わいにその差を見出せる。シャブリというよりはシャサーニュ・モンラシェの白を思わせると誰かが感想を漏らしたが、なるほど言われてみるとそんな印象も感じる。 1998年ビンテージではもり足りなさを感じたが、この1999年は奥深さがあり、濃密である。同じ畑でも年によって全く性格を変えるところがワインの楽しさである。 畑はモンマンの丘に位置し、モンマンを名乗ることもできる畑であるが、より区画の狭いラ・フォレの畑名でリリースされている。 <ルネ & ヴァンサン ドーヴィサ> フランソワ・ラヴノーに次ぐシャブリ地区第二位の造り手。ネゴシアンワインが大半だった1931年にドメーヌ元詰めを開始した歴史あるドメーヌである。ヴァンサンの父ルネの妹はラヴノーに嫁いでいるため両者は親戚筋にあたる。特級はプルーズとレ・クロだが、今回の二本がコストパフォーマンスの観点からもお奨めのワインである。 以上 |