D.R.C. | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年12月19日 | |||||||||||||||||||||||
<特級リッシュブール> 抜栓後デカンタはせずに、一杯分のワインを拭いたりして2時間後にINAOグラスへ。美しい照りのあるルビー色は、清く澄んでいる。某女史をして、某シンガポール航空のフライトアテンダントが座席の横を通り過ぎたかのような、オリエンタリックな装いに喜びを噛み締めながら、アジアンスパイス、イチゴなどの赤系果実香、カシスなどの黒系果実、スミレ、バラ、シナモン、カカオなどが複雑に、そして妖艶に香ってくるから鳥肌も立つというものだ。口に含めば、コクのあるボディ感が印象的で、これはロマネ・サン・ヴィヴァンにはなかった感触である。濃縮したミネラル感が鳥肌を浮きぼりにし、立体的で奥深い構造と滑らかな喉越しに心を奪われながら、華やかでリッチな味わいに、思わずうまいと言ってしまったりする。時間と共に、ハーブチックな香りも登場し、グラスが空になっても存在し続けるパワーに、さすがブルゴーニュの憧れのワインたる由縁を感じたりする。長い余韻に身を任せながら、クリスマスはリッシュブールがよく似合うと呟いたりする。 一方でリーデル・ヴィノム・ブルゴーニュグラスに注がれた方も、大変すばらしく、INAOでは表現しきれない潜在的なパワーを華やかに、美しく体感できるからグラスの妙も心をくすぐってくるのであった。圧倒的な美しさ・・・。ヴォーヌ・ロマネ村の、ヴォーヌ・ロマネ村たる理由を感じざるを得ない、強烈なワインである。 そして大変興味深いことに、このリッシュブールと先日のロマネ・サン・ヴィヴァンは、道を一本隔てただけの距離感ながら、味わいは驚くほど違ったものがあった。これほどまでにその味わいを異にしてくるところに、ブルゴーニュのテロワールを感じるこの頃だったりする。今宵の出会いに感謝である。 以上 |